2021 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化する政策実現過程・法執行過程における正統性確保とその原理
Project/Area Number |
20K13300
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永石 尚也 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 准教授 (20782923)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 執行統制 / 法の実現プロセス / EBPM / リスク / 法の支配 / 法多元主義 / 法内在道徳 / 代替的正統化要素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続きコロナ禍のなかにおける法執行の融解現象への分析を発展させ、研究目的記載の2課題のうち特に②法の現実(実践)における主体面での拡散と多元化(私化・グローバル化)と、実施面での統治手法の精緻化・範囲拡大(制裁・法執行とアーキテクチャによる統治の拡大)を中心に、調査・研究を進めた。 上半期においては、昨年度における法社会学的知見に基づく研究成果を踏まえ、アーキテクチャによる統治の実現形態としての官民を横断する情報取得構造に関する状況(特に位置情報/接触確認情報アプリ関連)についての司法・行政上の経過・現況を取りまとめ、研究成果を論文として公刊した。 下半期においては、研究実施計画に基づき、科学技術社会論を中心とする研究チームとともに各領域における「エビデンス」の過剰/過小利用の状況について整理し、主体間で相互に移転がなされるリスクの諸相について検討するとともに、研究成果を論文として取りまとめた。 また同時期においては、本課題の中心をなす「執行研究」を形成する上で必要となる分野横断的な知見を集積するべく、脳神経倫理研究についての倫理的課題やリーガルテック等経営学的見地に基づく報告を実施するなど研究会を継続的に実施した。 以上を通じて、課題②制裁・法執行とアーキテクチャによる統治の拡大を、具体的な技術・環境の中で位置付けるとともに、その法の実現プロセスの正統性確保の原理についての構想を形成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定した作業は、コロナ禍の中でも実現できた調査研究を含め、ほぼすべて完了したためである。 ただし、本年度の調査研究で得た知見は、コロナ禍の中での研究会の中止等の事情により、研究会における調査報告・研究報告を十分に経る機会を逸したまま論文公刊へと至っている。この点については、次年度中に研究会報告・成果としての取りまとめを行うことでフォローを行うこととする。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究年次までで概ね研究課題①及び②の遂行を一定程度、論文・研究会等の形で蓄積したことから、最終年度の次年度においてはこれらの継続とともに成果としての取りまとめを実施する。特に実施にあたっては、既存の研究会では十分に反映できていない、情報法・政策分野、科学技術社会学分野における知見を中心として「執行」にかかる問題状況を明らかにする形での公刊を目指す。
|
Causes of Carryover |
研究活動のための国内移動・海外渡航等にかかる費用を負担する必要がなかったため。 次年度における調査研究・研究会開催にかかる経費として使用する予定である。
|
Research Products
(5 results)