2020 Fiscal Year Research-status Report
帝政期ローマにおける皇帝権力と法の分析-法学者たちの勅法理解を手掛かりに-
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20K13304
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| Research Institution | Chuogakuin University |
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Principal Investigator |
塚原 義央 中央学院大学, 法学部, 講師 (60865103)
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2020-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | ローマ法 / 法学者 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、主に古代ローマにおいて皇帝が発したとされる法律である勅法の分析を通じて、皇帝と法学者の関係を再構築することを目的とする。令和2年度は本研究の準備段階として、帝政期ローマの法学者の一人であるウルピアヌスについて、彼の学説の分析を中心として分析を進めた。
ウルピアヌスはローマ法学史上、古典期と呼ばれる時代を代表する法学者の一人であるが、特にセウェルス朝期に活動した法学者である。古典期を集大成する業績を残しており多くの法学著作を残しユスティニアヌス帝のローマ法大全にも多くの学説が引用されるが、先代の法学者たちの言説を多く引用することから古典期法学著作の再構成においても重要な史料を数多く提供している。
このようなウルピアヌスの著作の特徴を生かし、同じく古典期を代表する法学者の一人であるユリアヌスの学説との比較を行った。具体的にはウルピアヌスの著作の一つに「告示註解」と呼ばれるものがあり、これは古典期ローマ法学者たちの著作類型の中でも重要なものの一つであるが、当該著作においてウルピアヌスは、ユリアヌスをはじめとして多くの先代の古典期法学者たちの学説を引用している。ウルピアヌスは様々なテーマでこの「告示註解」を展開するが、特に不法行為法関連の法文に着目をし、分析を試みた。
ローマには不法損害が生じた場合、加害者がそれを賠償することを規定したアクィリウス法と呼ばれる法律が存在したが、特にその法解釈をめぐって、ウルピアヌスとユリアヌスの相違を分析した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
帝政期ローマの個別の法学者、特にウルピアヌスのものについて特にその法解釈を中心として分析を進めることができた。古代ローマにおける皇帝権力と法学者との関係を解明するにあたり、今年度の成果は重要であった。
しかし中間的な研究成果を公表することについては、コロナ禍の影響もあって予定通りとはいかなかった。なかんずく海外の学会での研究発表の機会がなくなってしまった関係で、海外研究者に自身の研究成果について意見を伺うことができなかった。本研究においては海外研究者との意見交換が不可欠であるので、今後はオンラインによる意見交換といった方法も検討しながら進めていきたい。
これらの点を総合的に勘案し、（3）の進捗状況とした。
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| Strategy for Future Research Activity |
研究計画としては皇帝権力と法学者との関係を分析する上での具体的な方法として、より法学者の学説分析を比較も含めて深化させる必要がある。今後はウルピアヌスを中心として、他の法学者との比較も含めながらその学説分析を深化させていく予定である。また勅法についてもその中で分析し、法学者と皇帝との関係を明らかにしていきたい。
課題としてはコロナ禍による海外渡航の困難をどうクリアするかという点があるが、国内外においてオンラインによる開催といった取り組みも進んでおり、このような機会を利用することで海外研究者との意見交換を行いたい。
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| Causes of Carryover |
国内外の学会・研究会等の予定がコロナ禍によりキャンセルされ、旅費に充当することを予定していた分の金額が未使用となった。
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