2020 Fiscal Year Research-status Report
行政契約論の法理論化に向けた個別行政契約の分野横断的分析
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20K13312
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 崇弘 京都大学, 法学研究科, 特定助教 (30825683)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 行政契約 / 意思表示 / 行政法上の一般原則 / 行政私法 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本において簡単に紹介されるに留まっていたドイツの「行政私法」論、すなわち行政主体が私法形式で行政活動をする場合に適用されうる法規範は何かという議論について、次の3点を明らかにした。第1に、「行政私法」論はドイツでもその位置づけが非常に曖昧模糊であり論者によってその位置づけが異なること、第2に「行政私法」という用語は依然として用いられているもののその実態は各基本権が行政主体のあらゆる活動に対してどのような制約になり得るかという議論を総称する場になっているといことが多くの論者に共通すること、第3に結局のところ各基本権が行政の活動に対してどのような射程を有するかを一つ一つ丁寧に検討をしていく必要があることを明らかにした。ここから日本において行政主体が処分以外の形式で活動する際にどのような法規範が適用され得得るかという問題について検討するための手掛かりを獲得した。具体的には、ドイツと同様に日本国憲法が規定する人権の射程を踏まえた上で、各行政活動と人権の関係性を具体的に検討していく必要があることを明らかにした。 このほか、行政指導、行政契約、処分(行政行為)に対して比例原則が適用されるという命題が何を意味しているのかということについて検討を加えた。この検討の結果、行政主体が行政契約を締結するために意思表示を行うときに、どのような法規範が適用されるかについて一定程度明らかにし、意思表示それ自体に対しても比例原則や平等原則等の行政法上の一般原則が適用される可能性を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果を纏めて論文を1本公表した。又、本科研で明らかにすべき事項について何を調査したら良いかをより具体化した。
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Strategy for Future Research Activity |
行政契約に関する理論を形成するためにはいわゆる行政行為との比較検討を行う必要があり、そこからより広い視野にたって行為形式論について研究を推進させ、もって成果を出していく。
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