2020 Fiscal Year Research-status Report
公選議会以外の主体による選挙法形成についての比較憲法的考察
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20K13324
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
吉川 智志 帝京大学, 法学部, 助教 (80823153)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 選挙法の立法手続 / 憲法典の設計 / 違憲審査 / 選挙区画定委員会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、公選議会以外の主体による選挙法立法手続、あるいは公選議会を主体とする選挙法立法手続を修正する立法手続として、いかなる制度構想がありうるのかという「問い」を設定し、比較憲法的研究を踏まえた制度改革の提案ないし選択肢の提示を行うことを目的とする。そして実施計画によれば、本年度、アメリカ合衆国における制度を中心に検討する予定であった。 本年度、申請者は、第一に、学界等において必ずしも共有されていない上記の「問い」について、従来の憲法学における選挙制度論との関係や、従来の議論を踏まえたときの意義を、より詳細に説明するという作業に取り組んだ。これは、上記の「問い」自体の重要性を示すことを通じて、次年度以降の申請者の研究の基礎づけを行うためのものであり、いくつかの活字業績に結実した。 第二に、研究実施計画に基づき、アメリカ合衆国における選挙法立法手続に関する包括的な調査を開始した。加えて、選挙立法に対する裁判所の違憲審査において、選挙法の立法手続のあり方を考慮することを提唱する理論潮流を検討し、選挙立法をめぐる「実体的」議論と「手続的」議論との関連性について検討を加えた。もっとも、これらの点については、現時点では活字業績に結実していない。 なお、研究実施計画によれば、本年度、アメリカ合衆国における選挙立法のあり方について、同国の研究者にインタビューを実施する予定であったが、後述の理由により、実施できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献や法令の解釈を通じた海外制度の調査について順調に進展している。ただし、新型コロナウイルスに関する現下の状況のため、本来予定していた海外の研究者に対するインタビューを実施することができなかった点を踏まえて、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
実施計画に基づけば、次年度は、調査対象をアメリカ合衆国から拡大していくことを予定している。もっとも、引き続きアメリカ合衆国の調査を実施する必要性を感じており、調査対象の拡大はより漸進的になるものと思われる。 海外の研究者に対するインタビューについては、新型コロナウイルスに関する現下の状況か改善するかどうか次第であり、現時点で明確な見通しを持つことはできていない。当初の計画を修正する可能性を含めた検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、新型コロナウイルスの世界的流行により、本年度に予定していた海外研究者へのインタビューを実施することができなかったため、旅費を支出しなかったことが理由である。また、次年度においては、上記状況が改善していることを条件として、本年度に予定していた支出を行う予定であるが、それが不可能となった場合には、計画の変更を検討する。
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