2022 Fiscal Year Research-status Report
公選議会以外の主体による選挙法形成についての比較憲法的考察
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20K13324
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
吉川 智志 帝京大学, 法学部, 講師 (80823153)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 選挙法の立法手続 / 選挙法改革 / 選挙法の違憲審査 / 市民議会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、公選議会以外の主体による選挙法立法手続、あるいは公選議会を主体とする選挙法立法手続を修正する立法手続として、いかなる制度構想がありうるのかという「問い」を設定し、比較憲法的研究を踏まえた制度改革の提案ないし選択肢の提示を行うことを目的とするものである。実施計画によれば、本年度は、具体的な制度設計と制度的選択肢の提示(課題1)、及び、立法手続のあり方が裁判所の違憲審査に持ち得る意味についての検討(課題2)行う予定であった。 もっとも、前年度までに完了することを予定していた外国の選挙立法手続の調査が未完了となっていたため、これを引き続き実施することも課題であった(以下、課題3)。さらに、前年度から積み残した課題としては、課題1の前準備として位置づけられる、諸外国の実践を踏まえた制度設計の理論的枠組みを設定すること、も課題となっていた(課題4)。 本年度の最大の成果は、前年度までに進めていた、主として課題4に関わる研究成果を、「〈選挙法改革〉をいかにして実現するか――憲法学的一考察」と題する論文として公表したことである。本論文は、選挙法改革の困難性の分析を踏まえた上で、選挙立法手続の設計についての考慮要素と留意点を示したものである。また、本論文には、課題1~3に関わる検討や提言も含まれており、本研究課題全体にとっても大きな成果といえる。 課題3に関する調査も進めたが、公表には至らなかった。なお、課題3の一環として、海外研究者へのインタビューを行うことが前年度、前々年度から積み残されたが課題であったが、本年度も実施できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究によって重要な成果である上記論文を公表することができたため、「おおむね順調に進展している」と評価した。 ただし、前年度までの遅れがあるため、当初の研究計画通りの進捗があるわけではない。そのため補助期間の延長を申請し、これが承認されている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2023年度は、本年度の成果を、具体的な制度設計と制度的選択肢の提示につなげることが目標となる。また新型コロナ感染症を原因とする現地調査の実施困難性が払拭されたと考えられることを受けて、外国の選挙立法手続の調査の一環として海外研究者へのインタビューの実施とともに、これまでの調査結果の公表を目指すことになる。
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Causes of Carryover |
予定していた海外渡航を実施できなかったため。本年度、これを実施することを予定している。
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Research Products
(1 results)