2022 Fiscal Year Annual Research Report
Medical profession from viewpoint of Public law : their deontologocal responsability in public health
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20K13325
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河嶋 春菜 慶應義塾大学, グローバルリサーチインスティテュート(三田), 特任准教授 (10761645)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 公衆衛生法制 / 医プロフェッション / 憲法 / 医事法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、フランス法との比較において、公衆衛生の実施における医師の機能を具体的に理解し、医師職の憲法上の位置づけを明らかにすることによって、医師の公衆衛生上の公共的職責と、医師が職業選択および営業についてうける特別な規制および特権との連関を構造的に理解することを目的とする。 2022年度は、医師の職業倫理の実定法上の制度や患者の権利との関係も含めた体系的な理解を深めることを目指した。そこで、日本とフランスにおける、従来の予防接種制度とCOVID-19予防接種の制度との比較を行い、医プロフェッションに課される①予防接種を受ける義務と、②接種を行う義務を調査した。 まず、①は、フランスでは、医療従事者の職業上の義務として捉えられてきたが、COVID-19予防接種では、医療従事者以外にも広げられたため、義務の性質や根拠の捉え直しがなされていることが分かった。特に義務の根拠については、高リスク患者の保護や連帯の観点から議論されている。労働安全や院内感染予防等のために、予防接種を受けることが医プロフェッションの事実上の義務となっている日本において、これを公衆衛生の観点から捉え直すことができるかを検討する際には、フランスにおける議論が参考になる可能性がある。 次に、②については、フランスでは、医師以外の医プロフェッションにも、業務との関わりにおいて一部の接種行為が認められてきたが、COVID-19予防接種における「打ち手の拡大」では、本来の業務範囲との関わりよりも、ワクチンへのアクセスが重視されたようである。医プロフェッションの接種の担い手としての公衆衛生上の職責は、業務範囲とのかかわりではなく、患者(国民)の権利とのかかわりで論じることができる可能性がある。以上のほか、いわゆる「反ワクチン」の医師に対する医師会による懲戒事件にも触れることができた。
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Research Products
(8 results)