2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study on the Legal Status of Investors at the Intersection of International Investment Law and Domestic Laws
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20K13330
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
二杉 健斗 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (30824015)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 投資条約仲裁 / 国際投資法 / 国際法と国内法 / グローバル法 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度にあたる2020年度は、当初の研究計画にのっとり、投資条約仲裁と国内法および国内裁判所との間の関係に関わる1次資料と2次資料の収集および整理を行なった。仲裁判断・国内裁判例等の1次資料については、日々新たに公表されるものをフォローしつつ、過去の事例にも遡って整理を行なっている段階にあり、その詳細な分析と研究実績としての公表は今後の作業となる。 2次資料に関しては、研究の理論的な前提となる、投資条約仲裁と国家との間の関係に関する文献の調査と分析を行なった。その中で特に、投資条約仲裁と投資家本国との間の関係を扱ったRodrigo Polanco, The Return of the Home State to Investor-State Disputes, Cambridge University Press, 2019, xxix+342 pp.について、国際法研究会(京都大学・オンライン開催)において口頭報告を行い、出席者らと意見交換を行なった。本報告の内容は『日本国際経済法学会年報』第29号(2020年11月)において書評として公表した。 具体的実践的問題との関係での実行の分析は端緒についたばかりであるが、投資条約仲裁に対して国内法および国内裁判所が関係する重要な局面である仲裁判断の取消手続に関し、仲裁人の独立性・不偏性の欠如を理由とする取消しの問題を、ICSID条約仲裁と国内法上の仲裁とを比較しながら検討し、ICSID仲裁の取消事由の解釈に国内仲裁法の内容が影響を与え得る余地が認められた。Eiser v. Argentina ICSID取消決定について投資協定仲裁判断例研究会で口頭報告を行い、『JCAジャーナル』に判例評釈として投稿する準備を進めている。またEDFI v. Argentina同決定についても研究成果の公表準備を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響により教育業務と学務に割く時間が一時的に大幅に増え、資料の収集・整理が予定した程度には進んでいないことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
資料の収集と整理を引き続き行いつつ、その作業がある程度の蓄積を見せている問題については分析の作業に随時移行したい。仲裁判断の取消手続に関しては、ICSID仲裁とその他の国内法上の仲裁との間で一定の規範的交流が起こり得ることが示唆されたため、より理論的かつ実証的に詳細な分析を進める。また、国内法に基づく投資条約仲裁の性質をいかに理解するかも本研究にとって理論的に重要な問題であることが認識されてきたため、この点を明らかにするために、ICSID仲裁手続との比較を作業上の軸としつつ研究を進める。
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Causes of Carryover |
2020年度は、COVID-19の影響により予定していた出張をすべて実施できなかったため。2021年度も同様の状況が発生すると予想されるため、資料の購入・取寄せ等の費用として利用する計画である。
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