2020 Fiscal Year Research-status Report
Rebuilding the International Legal Order on Shared Water Resources: Toward Integrated Management of Rivers and Oceans for the Land-Based Pollution
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20K13336
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
鳥谷部 壌 摂南大学, 法学部, 講師 (40823802)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 陸起因汚染 / 海洋プラスチックごみ / 河川法 / 海洋法 |
Outline of Annual Research Achievements |
河川法は淡水を、海洋法は海水をそれぞれ対象として、個別に規範を積み上げ制度を発達させることで国際法の発展に貢献してきた。しかし昨今、世界的に注目されている海洋プラスチックごみ問題のように、海洋法あるいは河川法という個別の領域の理論の発達だけでは対処できない問題が出現しつつある。河川(淡水)と海洋(海水)の両方にまたがる国際問題の解決が世界的な課題となっている。こうした状況に、現代国際法は断片的な対応しかできていないことが懸念される。 こうした陸起因汚染に対する国際法の断片化という国際法課題の解明に3年間で取り組むことが、本科研の目的である。2020年度は、そのための予備的研究として位置づけ、とりわけ河川法に焦点を当てて研究を遂行した。その結果、今年度は、主に次の3つの研究成果が得られた。第1に、河川法においてすでに確立している基本原理や主要原則の内容を再確認し、そのなかには海洋法との関連においても一定の価値を持つと考え得る法益(環境それ自体」という法益)が見出せるとしたことである。第2は、陸起因汚染(プラスチックごみ問題)が深刻な地域(アジア・メコン川)の河川条約規定とその運用上の諸課題を明らかにしたことである。第3は、河川法という既存の体系と他領域の法分野とを架橋する視点を獲得するために、最近盛んに議論されている「環境と人権」の関係性に着目し、その関係性の図式化を試みたことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のため、当初予定していた出張計画を中止せざるを得なくなり、限られた資源のなかで研究を遂行する必要に迫られたという事情はあった。ただ、そうしたなかでも、事態に効果的に対処し研究成果を生み出してゆく必要があるため、研究手法を柔軟に見直し、今年度は、資料ベースで作業可能な研究(河川法を中心とした研究)に切り替えて遂行した。これにより、結果的に、複数の論文を公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、陸起因汚染に関し、海洋法の研究を遂行していく予定である。コロナの収束に目途が立てば、海外出張等の現地調査も実施したいと考えている。仮にコロナ禍が継続するようであれば、陸起因汚染の海洋法関連の文献の収集自体は済んでいるので、資料ベースで作業可能な研究スタイルを維持したい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が発生した理由は、前もって海外に発注していた洋書が、先方の輸送ミスにより、今年度会計期限内に到着不可能となったことによる。繰越額については、研究図書購入費に充当する。
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Research Products
(7 results)