2021 Fiscal Year Research-status Report
Researches on the Incentive Structure regarding Corporate Crime
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20K13346
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
深水 大輔 信州大学, 先鋭領域融合研究群社会基盤研究所, 特任教授 (10865025)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 企業犯罪 / インセンティブ / ガバナンス / アジャイル |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年の刑法学会の分化会において、川崎友巳同志社大学教授、高橋直哉中央大学教授、成瀬剛東京大学准教授、稲谷龍彦京都大学教授、小幡忍氏(日本電気株式会社)とともに、「企業犯罪と協議・合意制度-複眼的視点からのアプローチ」と題する報告を行った。また、同学会のワークショップとして、丸橋昌太郎信州大学教授、稲谷龍彦京都大学教授とともに、弁護士依頼者間秘匿特権に関して「国際的な企業犯罪対における弁護士依頼者間秘匿特権の位置づけと運用」と題する報告を行った。 さらに、企業犯罪に関するグローバルな議論を深める観点から、米国司法省(DOJ)のNicholas McQuaid氏、元DOJのDAGであるMark Filip氏、元DOJのFCPAユニット長であったDaniel Kahn氏、Harvard Business SchoolのEugene Soltes教授、Duke大学のBrandon Garrett教授、New York大学のJennifer Arlen教授、元英国重大不正捜査局(SFO)のAlun Milford氏らを招聘したワークショップを開催した(https://www.noandt.com/wp-content/uploads/2021/09/20211007.pdf)。 企業を動かすインセンティブ設計を含むアジャイル・ガバナンスの実装を進めるため、経産省Society5.0における新たなガバナンスモデル検討会の委員として、「アジャイル・ガバナンスの概要と実装」と題する報告書を取り纏めた(https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220303003/20220303003-1.pdf)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は企業犯罪の予防と摘発を促すインセンティブストラクチャーを支える複数の制度の相関関係と我が国における制度設計を分析することを予定していた。 この点、協議・合意制度は、我が国の活用事案はいずれも企業犯罪であり、その制度設計次第では、企業に企業犯罪の予防と摘発を促すインセンティブ設計の一部としての役割を期待できる。そこで、そのような観点から我が国の協議・合意制度を分析し、刑法学会で報告することができた。 また、インセンティブ設計の一部を構成する弁護士依頼者間秘匿特権についても、学会で議論を深め、その後、日弁連の関連部会で講演する機会を持つことができた。 さらに、ワークショップにおいては、コンプライアンス・プログラムの実効性評価についての最新の議論や労働法、データプライバシーに関する各国の違いがインセンティブや企業による不正調査に与える影響等について議論を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、「コンプライアンス・プログラムの実効性」の要素を検討し、インセンティブストラクチャーを総括する予定である。 コンプライアンス・プログラムの実効性については、米国において公表されている評価指針の作成に関与したDaniel Kahn氏や、その評価に関して行動経済学やデータサイエンスの観点から検討を進めているEugene Soltes氏と継続的に協議し、内部通報制度等、重要な制度を中心に検討を進め、インセンティブストラクチャーを総括したいと考えている。 本年10月には、再びワシントンの日本大使館でワークショップを行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、ワークショップがオンライン開催となった関係で、予定されていた支出よりも結果として若干費用が少なくて済むこととなった。本年はオフライン開催となるため、そちらの関係支出に利用する予定である。
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