2022 Fiscal Year Research-status Report
裁判員裁判を踏まえた相互闘争状況における正当防衛の判断基準の研究
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20K13351
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Research Institution | Chuogakuin University |
Principal Investigator |
木崎 峻輔 中央学院大学, 法学部, 准教授 (70754076)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 正当防衛 / 相互闘争状況 / 自招防衛 / 法確証の原理 / 量的過剰 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の研究の最も大きな進展として、相互闘争状況における正当防衛に関するこれまでの研究をまとめたモノグラフィー『相互闘争状況と正当防衛―理論と実務の交錯―』を刊行した。同書は、学位論文を元にして、平成29年決定やそれ以降の下級審裁判例、特に令和に入ってからの最新の裁判例に関する検討を追加し、また元になった学位論文から全体の構成を大幅に変更したものである。同書の刊行により、本研究が目的としている裁判員裁判を踏まえた正当防衛に関する研究が広く公表されることが期待できる。 また、論説「現在の裁判実務における平成20年決定及び自招防衛の理論の意義」を、中央学院大学法学論叢に公刊した。同論説は、多くの学説において、平成29年決定とは異なる理論に基づくものであり、事案の処理に際しては平成29年決定の判断基準と使い分けられるとされる平成20年決定と同判例で示された自招防衛の理論を、本当に平成29年決定と区別された特別な理論として扱う必要はあるのかということについて、近時の下級審裁判例やこの問題に関する学説を元に検討を加えたものであり、相互闘争状況における正当防衛に関する議論に資するものである。 また、正当防衛に関連した問題である量的過剰の問題についての重要判例である平成20年6月決定についての解説が『判例トレーニング刑法総論』に掲載された。この量的過剰の問題も、正当防衛に関する重要問題であることから、今後の研究に役立つものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究をまとめたモノグラフィーを刊行することができた。同書の刊行により、本研究が目的としている裁判員裁判を踏まえた正当防衛に関する研究が広く公表されることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
相互闘争状況における正当防衛に関する具体的な事案の処理基準については、モノグラフィーの刊行により一通りまとまったといえるので、昨年度刊行した正当防衛の基本原理に関する論説である「正当防衛の正当化根拠としての法確証の原理の再評価」の続きとして、正当防衛の基礎理論、特に正当防衛の権利性についての研究を進めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響で学会等がオンライン開催になることが多く旅費の支出が生じなかった。
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Research Products
(4 results)