2021 Fiscal Year Research-status Report
Does post-identification feedback affect eyewitness' behaviour?
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20K13359
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
福島 由衣 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (10836498)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 目撃者識別 / ラインナップ / 誘導的な面接者 / 聴取 / 確信度 |
Outline of Annual Research Achievements |
識別後フィードバック効果(以下,PIFE)とは,識別手続きを行う面接者が,目撃者の識別を肯定するフィードバックを返すと,目撃者の確信度をはじめとする記憶の質を変容させる現象のことである。これまでのPIFE研究では,確信度や犯行場面の見えの程度などを含む,事件に関する記憶評価のみが検討対象とされてきた。しかし,PIFEによって変質した記憶が,目撃者のその後の行動に影響を与えるかどうかは検討されてこなかった。そこで本研究では,これまで使用されてきた記憶指標以外の行動尺度を使用し,PIFEの影響を検討した。 昨年度とあわせて,これまで4件の実験を実施した。各実験では実験参加者に,「現在進行中の裁判で使用できるよう,実験データを提供してもらえるか」,「識別判断について供述を記述してもらえるか」,などと具体的な依頼を提示し,これらを承諾してくれる割合がフィードバックの有無によって変化するか検討した。その結果,承諾率はいずれの条件も非常に高く(天井効果),フィードバックの有無による承諾率の差はほとんど見られなかった。これは,「どのような解答が社会的に望ましいか」という要求特性が実験参加者に働いたためと推測される。最終年度は,このような要求特性が働きにくい行動尺度を考案し,実験を実施する予定である。 上記の研究実績については,学会報告(ポスター発表1報)を日本認知心理学会にて行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により当初の計画で予定していた対面実験は行える状況にないが,オンライン調査を用いた手法により,当初予定していた検討事項についてはおおむね実施できたため上記評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度はこれまで行った4つの実験結果について論文化を目指す。同時に,これまでの実験で明らかになった課題の検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度もコロナ禍により,国際学会が中止または延期になり,予算執行計画に大きな変更が生じた。また,他機関の共同研究者の援助により,実験実施に係る調査費が大幅に節約できたために未使用額が増大した。これらの差額については,移動制限が緩和されれば情報収集のための学会出張費にあてたり,消耗品の購入,人件費,研究成果の論文化に必要な英文校正費用などにあてたいと考えている。
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