2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K13363
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
小峯 庸平 一橋大学, 大学院法学研究科, 准教授 (80707464)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 民法 / 財産法 / 担保法 / 保証 / 物上保証 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、フランス法における物上保証に関する性質決定につき、令和2年度に引き続き、資料収集及び検討を行った。 収集した資料は、令和3年度中に実施されたフランス担保法改正について、解説及び論評を行い、新たに生じた問題について議論を行うものに加え、近年の裁判例の原文、これについての解説を行う論考、さらには、物上保証取引の性質についてより一般的に検討された論考等である。 今回のフランス担保法改正においては、物上保証一般について明示的な規定が民法典上に置かれる初めての機会となるという意味で重要な意義を有するのみならず、各段階における草案で、おかれる規定の体系上の位置や条文そのものの構造が異なるため、豊富な議論の素材をもたらすという意味で高い重要性を有する。また、これらの議論は、近年の裁判例と、これに対する学説の反応とを参照して組み立てられ、これが改正草案に反映されていることを考慮すれば、裁判例及びこれについての解説を行う論考を検討することにも、重要性が見出される。 さらに、これと対照しつつ、日本法における物上保証の取り扱いを論じる文献の収集も行われた。昭和40年代の裁判例を中心に、フランス法におけるのとは異なる問題群(求償権の根拠や代位の割合と言った問題等)を土俵として、物上保証の性質決定を試みる論考が存在している。
また、これら収集された資料の分析・検討を経て、日仏間において、物上保証という同一の現象をめぐって、実際に紛争が生じ、学説上の議論が生じる問題群(及び各問題に対する力点)の違いが明らかになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの流行により、課題の進捗に遅れが出ている。 第一に、令和3年7月まで在外研究拠点であったパリ第二大学の講義がオンライン化されたことにより、フランス人研究者との意見交換の機会が減少した。第二に、パリ第二大学付属の図書館へのアクセスに制限があり、収集できる資料に限定が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗の遅れに対しては、フランス人研究者と、ビデオ会議システムでのインタビューを実施することにより、意見交換の機会を確保すること、オンラインデータベースの活用により資料収集の効率化を行うことなどにより、改善する予定である。
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