2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K13366
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 陽一 京都大学, 法学研究科, 教授 (10737399)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 課徴金 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間4年目(最終年)である本年度に行った研究内容は、以下の6点である。 第1に、アメリカ証券取引法(特に民事制裁金制度)について、引き続き、様々な文献を収集し、分析・検討を行った。第2に、金融庁が公表している課徴金事例をさらに収集・分析して、その傾向や問題点を分析・検討した。本年度も、①各種開示書類(発行開示書類・継続開示書類・公開買付届出書等・大量保有報告書等)の虚偽記載または不提出等(金融商品取引法172条~172条の12)、②風説の流布・偽計(金融商品取引法173条)、③相場操縦(金融商品取引法174条~174条の3)、④インサイダー取引規制違反(金融商品取引法175条・175条の2)といった各類型ごとの分析を試みた。第3に、金融商品取引法上の課徴金に関するわが国の裁判例を新しいものを中心に考察した。特に、違法な会計処理によって会社が被った損害(課徴金等)について執行役等が賠償責任を負うとされた事例[東京地判令5.3.28]について、分析・検討を行った。第4に、金融商品取引法上の課徴金に関する論文や判例評釈等を収集し、その内容を検討した。第5に、昨年度に続いて、独占禁止法・景表法など他の法分野における課徴金制度に関する文献や実際の事例を収集・分析した。近時では景表法違反による課徴金事例が多いことから、その背景にある消費者庁の組織や権限についても分析・検討を行った。第6に、4年間の研究成果を整理した。今後、研究成果をまとめて論文の形で公表する予定である。
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