2023 Fiscal Year Annual Research Report
Family Business and Corporate Law
Project/Area Number |
20K13367
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
仲 卓真 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 准教授 (80825018)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 会社法 / 非公開会社 / 譲渡制限株式 / 譲渡制限株式の売買価格 / 譲渡制限株式の売買価格決定 / 会社法144条 / 株式価値評価 / 閉鎖会社 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は、同族会社の実態や行動原理を踏まえたときに、会社法が同族会社をどのように規律するべきなのか、である。具体的には、(i)まず経済学や経営学の研究を参照して、同族会社の実態やその経営者の行動原理を把握する。その結果を踏まえて、(ii)従来の閉鎖会社に関する研究の再検討、(iii)同族会社の株主構成に関わる会社法上の制度の検討、(iv)同族会社のガバナンスについての検討を行う。 令和2年度は、本研究の第一段階として、経済学や経営学の研究を参照して、同族会社の実態やその経営者の行動原理を把握することを試みた。令和3年度は、その成果を踏まえて、研究代表者が現在までに取り組んできた研究である同族会社における株式の相続に関わる諸問題のうち、特に相続によって生じる株式の準共有関係の規律のあり方に関する研究の成果を取りまとめた。令和4年度は、令和3年民法改正が株式の準共有にどのような影響を与えるのかについて検討を行った。 そのうえで、令和5年度は、同族会社の株主構成に関わる会社法上の制度の一つである株式譲渡制限制度についての研究を行った。具体的には、譲渡制限株式の売買価格の決定における「売買価格」(会社法144条2項)をどのように解するべきであるのかについて検討した。その中では、まずは従来の裁判例が交換価値説を採用しているのに対して従来の学説ではプロ・ラタ価値説が主張されているということを確認したうえで、従来の学説が主張するプロ・ラタ価値説の根拠が説得的ではないということを明らかにするとともに、株式譲渡制限制度の趣旨や手続、支配株主が置かれた状況等を具体的に踏まえると交換価値説を採用するべきであるということを示した。
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