2020 Fiscal Year Research-status Report
Institutional Investors and Corporate Governance
| Project/Area Number |
20K13369
|
|---|
| Research Institution | Osaka University |
|---|
Principal Investigator |
津野田 一馬 大阪大学, 法学研究科, 准教授 (80756627)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
| Keywords | コーポレート・ガバナンス / 企業統治 / 機関投資家 / 会社法 / 金融商品取引法 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は，さまざまな属性の機関投資家が，日本の上場会社のコーポレート・ガバナンスにおいて，いかなる役割を果たしうるかを分析するものである。
2020年度は，『商法判例集〔第8版〕』と『Before/After会社法改正』の2点の書籍を分担執筆した。
前者は，会社法に関する近年の重要な判例についての解説である。最高裁判例を中心として，近年の会社法分野（特に，コーポレート・ガバナンスとコーポレート・ファイナンスの交錯領域）における判例法理の展開を整理した。
後者は，令和元年改正会社法のうち，取締役報酬に関する部分につき，改正前後において会社法の規律がどのように変更されたのかを，事例を用いて説明するものである。想定される読者は学生・実務家ではあるが，単なる改正条文の解説にとどまらない，改正法の解釈論上の問題点についてもふれることができた。本研究は，近年の日本におけるコーポレート・ガバナンス改革の評価を行うことを重要な目的とするものである。令和元年改正会社法の内容に関する正確な理解を確立することは，今後の研究にとって重要な基礎となる。
現在，公的な場面において，上場子会社の役員人事などを中心として，研究当初に想定していた以上の速度で，上場会社のコーポレート・ガバナンスに関する議論が進められている。今後は，これらの議論の動向に目を配りつつ，上場会社のコーポレート・ガバナンスと機関投資家との相互作用について研究を進める。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症による移動制限等の影響で，研究活動に影響が生じた。特に，対面で行われる研究会は中止となり，オンラインでの研究会に移行する必要があったため，過渡期において研究に遅れが生じた。
主に上場子会社等の分野において，コーポレート・ガバナンスの法規制をめぐる議論の進展が早かったため，規制の基礎となる社会的・経済的実態について十分に探求する余裕がなかった。
|
| Strategy for Future Research Activity |
2021年度においては，先進諸国における機関投資家・資本市場をとりまく社会的・経済的実態およびそれを説明する社会科学的な理論の分析という，基礎的な研究を行う。
それと並行して，近年の会社法学・コーポレート・ガバナンス論において急速な議論の展開がみられる分野の最新動向につき，規制の動向も含めて，分析を行う。
|
| Causes of Carryover |
2020年度においては，新型コロナウイルス感染症の影響で，出張を伴う研究会に参加しなかったため，旅費が発生しなかった。また，研究会報告の回数が大きく減少したため，研究会報告の準備のための書籍・物品の購入額が大きく減少した。研究計画の進捗状況により，資料購入のための支出が少なかった。
2021年度において，出張を伴う研究会に参加する場合には，そのための旅費・準備費として使用する。そうでない場合には，まとまった外国法研究の時間がとれるので，洋書の購入等に支出する予定である。
|
Research Products
(2 results)
