2020 Fiscal Year Research-status Report
A comparative study on belonging of co-inherited property between Japan, Germany, and Korea
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20K13370
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
金 ミンジュ 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 助教 (50820601)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 共同所有 / 共有 / 共同相続 / 組合 / 登記制度 / 公示制度 / 団体財産 / 物権変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、共同相続財産の帰属をめぐる法的問題としてもっとも重要な課題である不動産の帰属とその公示制度を中心に外国法との比較研究を行い、研究会での報告および論文公表に努めた。 まず、ドイツ民法における共同所有制度と組合財産の公示に関する近時の改正と登記実務に関して、2020年3月にドイツで現地調査をした結果をドイツ民法との比較研究を専門とする民法教員たちの研究会である「ドイツ民法研究会」で報告した。そこで、日本法における共有財産全般の公示方法に関する問題意識を共有し、今後の組合財産および共同相続財産に関する規律のあり方について活発な議論を行なった。 次に、形式主義・登記強制主義を採用している韓国民法における不動産の物権変動制度について、現在韓国で議論されている様々な法律問題に対する学説・判例の展開について紹介し、日本民法における形式主義の導入可能性および関連公示制度の見直しの必要性などについて検討を行なった。これについては、「日本土地法学会中国支部研究会」で報告を行い、日本における所有者不明土地関係・不動産所有権の公示制度に関する問題意識を共有し、比較法的観点からの様々な質問や意見を受けた。研究会での討論内容を参考にし日本民法への示唆をより具体化した形で、次期に研究成果を公刊する予定である。 さらに、2017年・2018年に改正された日本民法(債権関係、相続関係)の中、共同所有財産に関する各論的な規律の変化について、組合財産および共同相続財産の帰属と第三者との関係を中心に分析・検討し、研究成果を国際ジャーナルに投稿した(2021年度中に公刊予定)。この成果は、組合財産・共同相続財産に関連する第三者保護および構成員間の内部関係の明確化のための提言を含むものであり、英語で作成されたため、日本民法の改正内容の国際的な発信により、他国の立法的な政策にも参照になることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
具体的には、2020年5月14日に開催されたドイツ民法研究会で「ドイツ民法における共同所有制度と組合財産の帰属―BGB第899a条およびGBO第47条2項の新設と登記実務―」というテーマで、ドイツにおける共同所有制度と組合財産の帰属とその公示方法に関する改正内容および改正後の実務上の問題点、今後の展望などについて報告し、団体法全般に関する影響および日本法への示唆についてなど、活発な意見交換を行なった。 なお、2020年12月26日に開催された日本土地法学会中国支部研究会で、「韓国民法における不動産の物権変動論の展開」について報告を行い、日本法における不動産物権変動と公示制度の整備の必要性、示唆点などについて活発な意見交換を行なった。 さらに、日本民法の最近の改正(債権関係、相続関係)における組合財産と共同相続財産の帰属と公示問題を取り扱った「The System of Co-ownership in Japan」という英語論文を、国際ジャーナル(ESCIなど)である「Vestnik of Saint Petersburg University. Law」に投稿し、2021年度第2号に掲載予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に続き、ドイツ法・韓国法との比較研究とともに、現在法制審で扱われている日本民法(所有者不明土地関係)の改正に関する要綱案を中心に、共同相続財産の帰属と公示制度に関する解釈論的・立法論的分析・検討を行う。すでに2020年度の研究成果に基づき、2021年度の個別報告(全国学会での報告)や、論文公刊の準備を進めている。ただ、Covid-19拡大の影響により、国内外研究機関との研究交流がオンラインのみに限定されているため、現地調査などの出張ができない場合があると予想される。研究費の有効な活用のため、適切な研究方法の工夫をしつつ今後の情勢に応じて対応する。
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Causes of Carryover |
Covid-19の拡大により、国内外研究機関との研究交流がオンラインのみに限定されてきたため、現地調査、資料収集および学会報告などのための出張ができなかった。今後にも研究期間内に資料収集や現地調査などのために計上していた予算を使えない場合があると予想される。その場合、研究費の有効な活用のため、海外出張費用を研究成果の公表に係る出版費用などに取り替えることを考えている。
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