2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K13371
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岡田 陽介 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (40598877)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 会社法 / 組織再編 / M&A / 会社分割 / 債権者保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、第一に、前年度に引き続き、わが国の会社分割制度ならびに会社債権者保護制度に関する立法や学説のサーベイを行った。その際、前年度とは異なり、わが国の会社分割制度と類似する制度を有するフランス法やドイツ法との比較による先行研究の分析を中心として行った。その結果、フランス法に関しては、会社分割制度における債権者の裁判所に対する異議申立権のしくみと機能について考察すること、ドイツ法については、わが国と異なり会社分割当事会社間に連帯債務を負わせることにより債権者を保護するという制度ではあるが、日本法の債権者異議手続と類似した機能を有する分割当事会社の担保提供義務について考察することが、わが国の会社分割における債権者保護制度についての示唆を得るためには重要であることが確認できた。 当初の研究計画では、2021年度はこれらの分析をもとに外国法の研究をする予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により海外渡航が不可能になった結果、海外での資料収集が困難になったため、外国法から日本法への示唆をえた学説の分析に切り替えて研究を行った。外国法の本格的な研究は2022年度の課題としたいと考えている。 第二に、わが国のM&A法制全体からみた会社分割の債権者保護制度についての位置づけを確認するために、組織再編における株主保護制度である反対株主の株式買取請求権や、キャッシュ・アウトに関する立法の動向や判例の研究も実施した。2021年度に公表した研究業績(最判令和3年7月5日民集75巻7号3392頁の判例研究)は、その一環である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度は新型コロナウイルスの影響による遠隔授業等の対応に追われたことや、海外渡航ができなかった結果、研究計画作成時に予定していた海外における資料収集、調査が不可能になった。そのため、日本国内での資料収集、分析にとどまらざる得ず、当初計画よりも研究は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、会社分割制度を世界で初めて導入し、現在もわが国と類似する債権者保護制度を有するフランス法、および1990年代に立法が行われわが国の会社分割制度に大きな影響を与えたドイツ法を考察したうえで、わが国の現行法と比較、検討することを計画している。
2021年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により海外渡航が不可能であったため、現地での資料収集・調査ができなかった。2022年度は、当初計画では2021年度に予定していた分も含め、ドイツ・フランスで資料収集・調査等を行い、分析をすることを目標としているが、新型コロナウイルスの感染拡大状況によっては、2022年度も海外渡航が困難になる可能性がある。そのため、最終年度である2022年度終了時に、研究期間延長の申請も検討している。
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Causes of Carryover |
2021年度も新型コロナウイルスの影響により、当初計画していた国内出張、海外出張をともに見合わせざるをえなかった。そのため、海外での資料収集が困難になり、資料整理をする必要もなくなった。 発生した次年度使用額は、2022年度に開催される国内学会・研究会の旅費、海外での資料収集のための旅費、外国での資料収集のための物品費、および人件費・謝金として使用する予定である。
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