2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K13371
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岡田 陽介 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (40598877)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 会社法 / 組織再編 / M&A / 会社分割 / 債権者保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、第一に、わが国の会社分割における債権者保護制度の民法および破産法上の問題点を検討した。民法上の問題点を検討するにあたっては、会社分割に詐害行為取消権の適用を認めた最判平成24年10月12日民集66巻10号3311頁が重要であるが、この判決は平成26年会社法改正および平成29年民法改正が行われる以前のものである。民法上の詐害行為取消権の制度は平成29年民法改正により条文の規定が詳細になっていることから、詐害行為取消権を利用した会社債権者保護については、改正民法下での意義及び問題点を検討する必要があると考え、会社分割と改正民法下における詐害行為取消権を利用した債権者保護との関係についての分析を行った。この点に関する研究の成果を論文として公表するには至っていないが、2023年度中の公表を目指し、研究を継続している。 なお、研究開始当初及び2022年度に修正した研究計画では、2022年度は外国法の研究をする予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により海外渡航が引き続き不可能になった結果、海外での資料収集が困難となった。そのため、研究期間を延長を申請し、外国法の本格的な研究は2023年度の課題としている。 第二に、昨年度に引き続き、わが国のM&A法制全体からみた会社分割の債権者保護制度についての位置づけを確認する作業を行った。近年、敵対的買収とその防衛策に関する判例が数多く出されているため、本年度はそれらの判例を分析する作業が中心となった。この研究の成果としては、買収防衛策の相当性に関する判例の研究報告「判例研究:三ツ星新株予約権無償割当差止仮処分命令事件(最二小決令和4年7月28日資料版商事法務461号147頁、大阪高決令和4年7月21日同153頁)」が挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年度も前年度に引き続き、新型コロナウイルスの影響により国内出張や機関の利用が制限され、また海外渡航ができなかった結果、日本国内での文献収集のための出張や、海外における資料収集、調査が不可能になった。そのため、所属大学内での資料収集にとどまらざる得ず、当初計画よりも研究は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度も新型コロナウイルス感染拡大の影響により海外渡航が不可能であったため、現地での資料収集・調査ができなかった。2023年度は、現段階(5月段階)では海外渡航制限も緩和されていることから、当初計画で示したように、ドイツ・フランスで資料収集・調査等を行い、分析をすることを目標としている。さらに今後の研究の展望を得るために、アメリカ法やイギリス法に関する分析も進めたいと考えている。日本法については、詐害的会社分割と平成29年改正民法下での詐害行為取消権を利用した債権者保護との関係についての論文をまとめ、公表したい。
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Causes of Carryover |
2022年度も新型コロナウイルスの影響により、当初計画していた国内出張、海外出張をともに見合わせざるをえなかった。そのため、国内他研究機関や海外での資料収集が困難になり、資料整理をする必要もなくなった。 発生した次年度使用額は、2023年度に開催される国内学会・研究会の旅費、国内外での資料収集のための旅費、外国での資料収集のための物品費、および人件費・謝金として使用する予定である。
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