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2020 Fiscal Year Research-status Report

不法行為法における「違法性」要件の意義再考:AI時代の到来を契機として

Research Project

Project/Area Number 20K13379
Research InstitutionRitsumeikan University

Principal Investigator

角本 和理  立命館大学, 政策科学部, 准教授 (50779577)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords不法行為責任 / 違法性 / 過失 / 利益衡量 / リベラル・コミュニタリアニズム / 普遍主義 / 多文化主義 / 人工知能
Outline of Annual Research Achievements

私法上の不法行為責任制度は、社会の基幹技術となりつつある人工知能(AI)が係って発生する権益侵害に如何に対応することができるか。この課題につき、本研究では、不法行為訴訟における違法性要件の機能を肯定的に評価する立場から、特に2020年度には次の検討を行った。
20年度の前半期では、Google検索結果削除請求事件に関する最決平成29年1月31日民集71巻1号63頁と、ベネッセ情報漏洩事件に関する最判平成29年10月23日判時2351号7頁が示した判断枠組を、それぞれ日本の不法行為基礎理論に位置づけ、その意義を検討した。具体的には、最判平成29年10月23日が示した過失要件に関する法理については、情報社会においてグローバルな普遍性を志向しうる帰責性判断の基準として、最決平成29年1月31日が示した違法性要件に関する法理については、グローバルな情報社会にあっても地域性(コミュニティ)・個別性(AIのブラックボックス問題)への配慮を志向する帰責性判断の基準として、それぞれ利益衡量の在り方が異なる要件であると再定位することができるのではないかとの着想を得た。
20年度の後半期では、以上の着想を足掛かりとし、これをリベラル・コミュニタリアニズムに基づく不法行為法の基礎理論として展開するための準備作業として、(AI技術の発展を牽引する)アメリカと中国におけるリベラリズム、コミュニタリアニズム及び多文化主義に関する研究や、普遍主義に関する研究の文献収集・分析を開始した。
21年度は、20年度後半期の作業を引き続き行い、リベラル・コミュニタリアニズムに基づく帰責性判断の基準の在り方について、理論的検討を進める予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2020年度は、研究の進展具合としては、内容面でいえば、当初の計画にほとんど遅れることなく進めることが出来ているため、結果的にはおおむね順調に進展していると評価できる。しかしながら、当初予定していた20年度下半期からのアメリカでの1年間の在外研究が今般のコロナ禍の影響を被り延期となったため、研究手法、研究の順序、文献収集の在り方については再考が求められた。そのうえ、この予定の変更は、21年度以降の研究にも大きな影響があることが予想される。しかしながらこの点については、結局のところ新型コロナウイルス感染症の流行の具合次第でもあるため、今後も臨機応変に調整を行わざるを得ない。

Strategy for Future Research Activity

2021年度は、20年度後半期の作業を引き続き行い、リベラル・コミュニタリアニズムに基づく(AIの係る)不法行為責任の帰責性判断の基準の在り方について、理論的検討を進める。具体的には、リベラリズム、コミュニタリアニズム、多文化主義、普遍主義等の政治思想や、資本主義や社会主義等の経済思想に関する西洋・東洋の研究を分析することで、それらの思想が私法の価値判断・利益衡量に与える影響につき考察する。
その後、上記作業による理論的な示唆を踏まえて、日本の従来の不法行為理論をより詳細に検討し、自身の研究の理論的・実践的意義について検討を進めていく。この作業は、AI等の新たな情報通信技術を活用する時代における不法行為法の意義と限界を確認するための準備作業となる。そのため、先端的な情報技術に関する社会学・情報学や、民法はもちろん憲法・行政法等の関連法分野の研究についても、並行的に検討を進める。
具体的な手法としては、当面の間は、アメリカ・中国両国を実際に訪問しての学会参加、ネットワークづくり、文献収集等は見送らざるをえず、日本国内での文献収集とその分析を中心とする予定である。しかしながら、オンラインのシンポジウム等に関しては、国内外のものについて、可能な限り積極的に参加していく。もちろん、コロナ禍の影響が限定的になった場合には、出張を伴う研究会・学会参加や調査等を行うこともありうる。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた理由としては、20年度は、折からのコロナ禍により出張を伴う学会・研究会出席が一切なかったので、予定よりも使用額が限定的になったためである。
この次年度使用額については、翌年分と合わせて、書籍等の物品費として使用する予定である。もちろん、コロナ禍の影響が収まり、出張を行うことができるようになった暁には、旅費として使用することもありうる。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] サイバー時代におけるプライバシーの法理論(七・完) : 私法上の問題を中心に2020

    • Author(s)
      角本和理
    • Journal Title

      北大法学論集

      Volume: 71巻4号 Pages: 326-242

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2021-12-27  

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