2020 Fiscal Year Research-status Report
From Settler Colonialism to Commonwealth: A History of Political Thought in the Post-Brexit Period.
Project/Area Number |
20K13395
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
馬路 智仁 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80779257)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | グレーター・ブリテン / 殖民主義 / ブリティッシュ・コモンウェルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近代のイギリスにおいて、世界の大洋を跨いで広がるブリティッシュ・コモンウェルスという帝国共同体がどのように想像・構想されてきたかを、殖民主義(settler colonialism)論などの知見を踏まえて政治思想史学の観点から明らかにすることである。 この目的に照らして、2020年度は、主として19世紀前半から中葉にかけてのイギリスにおける殖民主義論の分析を行った。具体的に検討対象としたのは、エドワード・G・ウェイクフィールド(1796-1862)の著作――A View of the Art of Colonization (1849) など――、ジョン・S・ミル (1806-73)の『代議制統治論』、ハーマン・メリヴェール(1806-74)のLectures on Colonization and Colonies (1861) 、ジョン・R・シーリー (1834-95) のThe Expansion of England (1883)などである。 このとき分析視角としたのは、これら重要な思想家が、いかなるイデオロギーの下で本国ブリテン島の人々による大洋横断的な移住・植民を促進してきたか。また、彼らがイギリス本国民と海外移住民の間の精神的紐帯としていかなる要素(人種・文化・言語・民主的価値観など)を観念・重視していたかであり、これらの点について一定の知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid-19の影響による業務量の増加に加えて、育児休業(2020年9月14日~2021年3月31日)を取得したことによる研究中断期間があったため、2020年度に予定していた研究作業量全体からはやや遅れている。これを補うため、「産前産後の休暇、育児休業の取得又は海外における研究滞在等に伴う補助事業期間延長承認申請書」を提出した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画に即して、2021年度は、19世紀後半のイギリスにおけるグレーター・ブリテン構想に焦点を当て、その重要な構想者であるE.A.フリーマンやJ.A.フルード、W.T.ステッドらの著作物を分析する予定である。また、Covid-19や育児休業の影響で2020年度に行うことができなかった一次文献や未公刊文書の調査は、Covid-19の状況を見つつ2022年度あるいは2023年度に行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
Covid-19と育児休業の影響により、予定していたイギリスでの資料調査ができず、計画していた旅費・宿泊費を使用しなかったため。Covid-19の状況を見つつイギリスでの当該調査を行う際に、この繰越し分を旅費・宿泊費等として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)