2021 Fiscal Year Research-status Report
From Settler Colonialism to Commonwealth: A History of Political Thought in the Post-Brexit Period.
Project/Area Number |
20K13395
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
馬路 智仁 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80779257)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | グレーター・ブリテン / 殖民主義 / ブリティッシュ・コモンウェルス / 南太平洋 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近代のイギリスにおいて、世界の大洋を跨いで広がるブリティッシュ・コモンウェルスという帝国共同体がどのように想像・構想されてきたかを、殖民主義(settler colonialism)論などの知見を踏まえて政治思想史学の観点から明らかにすることである。 この目的に照らして、2021年度は、殖民主義が展開された南太平洋地域(オーストラリアやニュージーランド)からの視角を検討した。すなわち、これら(本国から見た)対蹠地において、本国ブリテンで構想されたグレーター・ブリテンやブリティッシュ・コモンウェルスが構想がどのように受容され、利用され、組み替えられ、再定式化されたかを検討した。また、時代を経て20世紀後半となり、ブリティッシュ・コモンウェルスという帝国枠組みが失われつつある中で、どのように本国ブリテンとの関係を知的に再構築しようと試みたかを分析した。後者については特に、「新しいブリテン史」を提唱した著名な歴史家J.G.A.ポーコックを対象とした。 さらに、19世紀末から20世紀前半の本国ブリテンにおいてブリティッシュ・コモンウェルスを構想した論者の知が、同時代の日本にどのように波及したかも、付随的に検討した。その結果、近代日本の帝国主義的南洋論をめぐって、英語圏の帝国論が重要な役割を果たしているという知見を得た。この側面の研究で、英語圏ジャーナルに査読論文を出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」で記した三つの側面での検討が進み、英語圏における関連分野のフラグシップ・ジャーナルの一つで、査読論文の出版を得たため、概ね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度の研究成果を受けて、グレーター・ブリテン構想やブリティッシュ・コモンウェルス構想をめぐるイギリス帝国内の太平洋を跨いだ知の循環・相互作用を検討することとしたい。すなわち、これらの構想を軸に、本国ブリテンと入植者植民地オーストラリア・ニュージーランドの間で、どのような知的交流が存在したかを吟味する。
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Causes of Carryover |
Covid-19の継続的影響により、予定していたイギリスやヨーロッパ他国での資料調査や学会発表ができず、計画していた旅費・宿泊費を使用しなかったため。これらは、Covid-19の状況を見つつ2022年度以降行うこととし、この繰越し分を旅費・宿泊費等として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)