2020 Fiscal Year Research-status Report
多元的な政治制度を横断する政党組織に関する比較研究
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20K13400
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石間 英雄 京都大学, 法学研究科, 特定助教 (30866786)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 選挙制度 / 二院制 / マルチレベルの政治制度 / テキスト分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は二院制や地方制度に着目し、それらの様々な制度をまたぐ政党組織がどのように組織化されるのかを理論的・実証的な検討をもとに明らかにしようとした。特に、日本とオーストラリアの主要政党を分析対象とし、上下院議員や地方議員間の交渉の帰結としていかなる政党組織が形成されるのかを分析することを目的としている。 2020年度は、文献調査に基づく理論的な検討とともに、様々な制度を横断する政党組織のあり方を検討する前段階の作業として、それぞれのレベルの議員がどのような活動や考え方をしているのかに関する検討を行った。具体的には、日本の二院制と地方制度が政党組織に与える影響、また、オーストラリアにおける州議会の議員の関心について実証研究を行った。 第一に、日本の二院制について、自由民主党の部会所属を事例として、参議院議員の政策活動に関する分析を行った。特に、全国区・比例区の参議院議員は、衆議院議員や地方区・選挙区選出の議員と比較して、独自の利益代表を行う傾向があることが分かった。第二に、日本の地方議員が全国的な政治イシューに言及することがあり、それはどのような時に行われるのかについて分析を行った。 第三に、オーストラリア、ヴィクトリア州議会を事例として、議員の政策的関心を議会演説から測定することを試み、選挙制度改革が議員の政策的な関心に影響を与えるかを検討した。小選挙区制から実質的な拘束名簿式比例代表制への選挙制度改革は、議員の政策的な関心、特にポスト工業化社会における社会的投資のような新しい政治的イシューへの関心を高めるということが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査などにより理論的な検討を円滑に進めることができた。また、議員の関心などに関する実証分析については、三本の論文を公表することができ、また特に二つは国際誌に掲載することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、日本の参議院議員に関しては引き続き、その関心について実証研究を行っており、学会や研究会等での報告を経て、論文公表を目指したい。また、理論的な検討を引き続き行い、様々な関心を持つ議員が、様々な制度を横断する形で、どのような政党組織を形成するのかに関する分析を行うこととしたい。
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