2021 Fiscal Year Research-status Report
多元的な政治制度を横断する政党組織に関する比較研究
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20K13400
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石間 英雄 京都大学, 法学研究科, 准教授 (30866786)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 二院制 / 政党組織 / テキスト分析 / 政治的対立 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は二院制や地方制度に着目しつつ、それらが生み出す政治的な対立とそのような対立をまとめ上げる政党組織の関係について検討しようとするものである。 2021年度は、政治的な対立と制度が生み出す統合・分断の関係について着目して検討を行った。社会における様々な利益を議員や政党は代表しようとしている。その利益代表のあり方は、制度によって媒介される。これまで選挙制度を中心として、そのあり様が検討されてきたが、議員の活動の場である議会を二つの議院に分割する二院制や地方レベルの利益の枠を設定する地方制度などの影響なども想定できる。これらの制度が利益表出の多様化を促し、(議員を中心とした)政党組織内部での交渉関係に影響を与えることが想定されるのである。 これらについて以下の手順で検討を行った。 第一に、日本を事例とした分析において、参議院議員の活動と衆議院議員の活動にどのような対応関係があるのかを検討した。都道府県レベルの利益を代表する参議院議員とそれよりも小さいレベルの利益を代表する衆議院議員の間には、地理的な利益をめぐって競争関係があったようであり、特に、都市部と農村部では協力関係のあり方に違いが存在することが明らかとなった。 第二に、日本の国会を事例として、テキストの内容ではなく、発言の仕方という新しい視点に着目して政党内・政党間の対立関係を明らかにする指標を作成することを行った。これによれば、当初参議院において、当初は国会内で政府に対して敵対的な発言をおこなっていたようであるが、1980年代以降、対立が弱まっているようであり、議会から政党内に対立が包摂された可能性が示唆される。 第三に、そのような対立のあり方を架橋する政党内部の構造を検討するべく、組織内のネットワークに関する理論的な検討を行った。その上で、組織内のネットワーク形成に関する分析に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査・理論的検討をスムーズに行うことができた。また複数の研究者と政治学におけるネットワーク分析に関する研究会を組織し、理論や分析手法に関する議論を円滑に行うことができた。 その上で、学会報告などを研究発表を行う機会が様々あり、フィードバックを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
二院制だけでなく、地方制度の影響などについて今後検討を進め、その上で、ネットワークを通じた組織形成のあり方について検討を進める。また、論文の投稿を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症が流行した関係で、学会等に出張することができなかったため、旅費などに予定していたものが支出できなかった。
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