2020 Fiscal Year Research-status Report
満州国協和会の研究ーー民意機関の機能及び日本国内の政治に対する影響
Project/Area Number |
20K13402
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
趙 テキ 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 助教 (90825770)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 満洲国 / 協和会 / 連合協議会 / 民意 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、満洲国協和会が満洲国住民の意見・希望をどれほど政治に反映し、また協和会の民意機関としての経験が日本国内の政治にどのような影響を与えたかを考察する。これを通じて①満洲国において民意が政治に反映された状況を分析し、満洲国ひいては近代日本植民地の政治史の研究を深める。②政治面における満洲国と日本国内との連動の一端を解明し、帝国日本の政治史を改めて把握する。具体的には本研究は、協和会の連合協議会の整備と運用を考察し、また協和会の民意機関としての経験が、日本国内の政治体制の再編、大政翼賛会の成立と展開に取り入れられた状況を考察する。 今年度では、①連合協議会の整備及び1930年代の全国連合協議会の運用を考察した。連合協議会の整備・再整備の全過程を考察し、また1934-1939年の第1-6回全国連合協議会の構成・運営、その議案の提出と処理を考察した。②協和会の経験全体が日本国内に紹介され、日本国内の政治新体制の模索、大政翼賛会の結成に影響を及ぼした状況を概観した。研究成果を学会で発表し、論文も執筆した。 今年度の研究は新型コロナウイルスの流行に影響され、特に中国への資料調査が見送られた。そのため、地方連合協議会の運用の考察が進んでいない。来年度では、連合協議会の整備をさらに掘り下げ、1940年代の全国連合協議会の運用を考察しつつ、地方連合協議会の運用を考察する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本国内所蔵の資料の収集・整理は計画通りに進み、資料に基づき研究を行い、学会報告、論文などの業績もあげた。しかし、新型コロナウイルスの影響で中国への資料調査を見送りせざるを得なく、そのため、主に中国所蔵の資料に基づく地方連合協議会の運用の考察が進んでいない。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度では計画に沿いながら地方連合協議会の運用の考察を中心に研究を進める。具体的には、今年度の研究をふまえ、連合協議会の整備を掘り下げ、1940年代の全国連合協議会の運用を考察する。それと同時に、奉天省を具体例とし、1930-40年代の地方連合協議会の運用を考察する。 新型コロナウイルスは、来年度の研究の進行にも影響を与えると予想される。以下のような対応策を採用する。①日本国内所蔵の資料を徹底的に調査する。②公刊された資料・先行研究をできるだけ購入し、電子資料を活用し、また大学を通じて文献複写を依頼する。③中国への出張ができるようになれば、一回の出張で資料調査と学会発表の両方を行い、研究を能率化させる。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行のため、研究のための出張が見送られ、次年度使用額が生じた。 来年度では、主に出張の旅費に次年度使用額を使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)