2022 Fiscal Year Research-status Report
The Peace Dividend: A Conflict Analysis after a Decade of the Independence of South Sudan
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20K13432
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
小林 綾子 上智大学, 総合グローバル学部, 特任助教 (50845146)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 紛争 / 平和 / 和平合意 / 国際仲介 / スーダン / 南スーダン / 市民的抵抗 / 国内避難民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、紛争アクターの特徴を理解することにより、国連平和活動の改善策を検討することである。3つのサブテーマとして、(1) 紛争アクターの特徴を理論的に整理すること、(2) 国連平和活動の変遷を整理すること、(3) そして紛争当事者から見た国連の政策上の課題を指摘すること、を設定した。 感染症及び治安の問題により、本科研費実施の最初の2年間に続き、3年目にあたる2022年度も、本研究で予定していた現地あるいは周辺国での調査は実施困難であった。そのため、利用可能な文献資料等を用いることにより研究を進めた。2021年度に査読付き論文にまとめ公表した「国連平和活動とローカルな平和」の議論から発展させ、和平合意を締結しても紛争を繰り返す場合があるのははなぜかという問いを掲げ研究を進めた。考察した成果を2022年に国際学会で報告した他、学術雑誌に論文を投稿し、2023年3月に査読付き論文「紛争再発と和平合意」として発表することができた。サブテーマに沿って整理すれば、2021年に本研究サブテーマの(2)を公表し、サブテーマの(1)と(3)をあわせたかたちで2023年3月にさらなる成果を公表できた。また、これまでの研究の蓄積をもとに、サブテーマの(2)である国連平和活動の変遷を、書籍『国際関係学』の改訂版に執筆し、2023年4月1日に刊行された。 研究の発展として、紛争や国連の平和活動に関係する難民・国内避難民問題について、また難民・避難民問題にかかわる紛争アクターや国連の関与を考察する目的で資料収集のための海外出張を行った。さらに、新しい紛争の形態として市民的抵抗を研究し、その過程で重要な英語文献『市民的抵抗』の邦訳を行い刊行した。スーダン、南スーダン以外の紛争事例についても紛争アクターと国連の関与といった観点から議論する機会を得、より広く紛争アクターと国際社会の役割を再考する機会とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過去3年間で、本研究のサブテーマに設定した3つの課題は、論文や学会報告等で公表してきた。しかし、感染症及び治安の問題が続き、現地調査に基づくデータの収集ができず、新たなデータに基づく単著の執筆が予定通りに進んでいない。そのため、進捗状況は「やや遅れている」状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究について、科研費使用が1年延長して認められたため、2022年度の研究の発展型として、サブテーマ(1)に設定した紛争アクターの特徴を理論的に整理することについて、文献等を参考に論文執筆や依頼を受けた書籍の分担執筆を進める。加えて、昨年度調査を進めた、難民・避難民問題、国連そのものに関する歴史や機構的課題あるいは現代的課題等について学会報告や論文としての成果発表を進める。現地調査をおこなうか、現地調査が出来なければ代替策として文献やアーカイブ収集を行うことを通じて、書籍の執筆も進める。
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Causes of Carryover |
申請時に予定していた現地調査に必要な旅費及び人件費分が過去3年間使用できていないため。今後、現地調査の可能性を追求しつつも、困難な場合には文献やアーカイブ収集の渡航費用や新たな文献収集購入といった必要経費に充当する予定である。
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