2022 Fiscal Year Research-status Report
トルコにおけるウイグル女性のイスラム的共生社会の創出に関する研究
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20K13444
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
中屋 昌子 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (30838850)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国際移動 / ジェンダー / イスラム / 中国 / ウイグル / トランスナショナル |
Outline of Annual Research Achievements |
トルコイスタンブルに渡航(2022年8月、2023年3月)し、ウイグルNGOの協力を得てウイグル女性コミュニティ(セファキョイ地区、ゼイティンブルヌ地区)の現地調査を行った。ウイグル女性がトルコに亡命した背景には、中国(新彊ウイグル自治区、以下新疆)で宗教統制が2009年ウルムチ事件以降より強化されたこと、それにより女性のイスラム的な服装の管理、女性の宗教的教育の管理が強まったこと、伴侶が宗教的理由で刑務所で服役している、もしくは伴侶が刑務所で死亡し寡婦となったことなどの理由が存在することが判明した。 トルコに亡命したウイグル女性かなりの数が存在しているが、なかには新疆からトルコまで単身で亡命して来た者もおり、20代、30代の女性といった若年層が多いことが明らかとなった。 トルコにおいては、生活に困難なウイグル女性のためにウイグル女性が女性専用のバザールの開設、バザールの店舗を安価で借りうけ子供服店・下着店・洋装店・食料店・ウイグル伝統医学の薬局を開く、女性のNGOの開設、女性のための縫製学校や作業場(アトリエ)の開設、宗教クラスや女性のための神学校を設けていることが明らかになった。また、こうした女性同士の情報交換には、主にSNSが使用されていることが分かった。このように、女性のイスラム的な共存的空間を創出することで、ウイグル女性の活動の場が広がり、共存的空間が拡大していることも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トルコイスタンブルに渡航し、ウイグル女性に聞き取り調査、国内外の文献調査、SNSを活用し調査を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成5年度は、本研究の最終年度にあたり、これまでの研究成果を整理し発信する。本の出版にとりかかる。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス蔓延により、海外渡航が容易ではなく、特に中国での現地調査や文献調査ができなかったため。海外調査や備品購入などに使用することを計画している。
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