2023 Fiscal Year Research-status Report
トルコにおけるウイグル女性のイスラム的共生社会の創出に関する研究
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20K13444
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
中屋 昌子 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (30838850)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 越境 / ウイグル / トルコ / イスラム / 国家 / 宗教 / 中国 / トランスナショナル |
Outline of Annual Research Achievements |
トルコイスタンブルに渡航し、ウイグルNGOの協力を得てウイグル女性コミュニティ(セファキョイ地区、ゼイティンブルヌ地区)の現地調査を行った。ウイグル女性がトルコに亡命した背景には、中国(新彊ウイグル自治区、以下新疆)で宗教統制が2009年ウルムチ事件以降より強化されたこと、それにより女性のイスラム的な服装の管理、女性の宗教的教育の管理が強まったこと、伴侶が宗教的理由で刑務所で服役している、もしくは伴侶が刑務所で死亡し寡婦となったことなどの理由が存在することが判明した。 トルコに亡命したウイグル女性かなりの数が存在しているが、なかには新疆からトルコまで女性の意思で単身で亡命して来た者も数多く存在し、20代、30代の女性といった若年層が多いことが明らかとなった。 セファキョイ地区においては、生活に困難なウイグル女性のためにウイグル女性が女性専用のバザールの開設、バザールの店舗を安価で借りうけ子供服店・下着店・洋装店・食料店・ウイグル伝統医学の薬局を開く、女性のNGOの開設、女性のための縫製学校や作業場(アトリエ)の開設、宗教クラスや女性のための神学校を設けていることが明らかになった。また、こうした女性同士の情報交換には、主にSNSが使用されていることが分かった。このように、女性のイスラム的な共存的空間を創出することで、ウイグル女性の活動の場が広がり、共存的空間が拡大していることも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中国に渡航し文献資料調査、トルコでは文献資料調査、および現地調査を行った。研究会での発表や書籍の出版を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究においては、これまでに入手した文献調査を継続すると同時に、現地調査で得た資料や聞き取り調査を整理する。
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Causes of Carryover |
コロナ蔓延により、海外への渡航が限定的であり、現地調査や資料収集が実施しづらい状況にあったため。
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