2022 Fiscal Year Research-status Report
Renewal of Nuclear Deterrence in Response to North Korea's Nuclear Arms Expansion and Impact on Japan and South Korea
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20K13446
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
崔 正勲 立命館大学, 立命館アジア・日本研究機構, 助教 (70822716)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 北朝鮮 / 核兵器 / 核抑止 / 米朝関係 / 地政学 / 比較研究 / 同盟 / 理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、北朝鮮の核兵器高度化に伴う米朝間の抑止関係の変化及びその北東アジアの安全保障への影響について核抑止論に依拠し検証することで、①核抑止論を刷新し②かつ新たな安保環境における日本と韓国の戦略と選択肢を明らかにする事にある。 2022年度の研究では、前年度までに行った、北朝鮮の核兵器高度化による日本及び韓国への影響についての理論的考察を土台とし、印パ、イラン、ウクライナの状況との比較研究を行う一方、米中対立やウクライナ戦争の勃発という新しい安保環境を踏まえ、研究を発展させた。 具体的には、地政学理論の観点から北朝鮮の核兵器高度化の影響について研究した。検証の結果としては、19世紀後半より朝鮮半島は帝国間の緩衝地帯として機能し、北朝鮮は1948年以来、冷戦を通じて大国間の緩衝国家としての役割を課されてきたが、北朝鮮が超大国間に挟まれる緩衝国家としては初めて米国本土を攻撃可能なICBMを保有するまでの核保有国となったことにより、北朝鮮は緩衝国家の地位から逸脱しうる点を明らかにした。 上記研究成果は、①論文執筆、②研究報告(日本語、朝鮮語)、③研究集会開催によって、発信された。とりわけ、3度の研究発表を経てブラッシュアップしながら書かれ、2022年度に投稿された論文(掲載決定済み)では、まず分析枠組みである地政学理論とは何かについて定義し、次に分析枠組みと照らし合わせながら、北東アジア緩衝システムにおける朝鮮半島の地政学的位置と歴史的変遷を見た後、軍事技術革新としての北朝鮮における核兵器高度化の現況を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度に引き続き、2022年度も新型コロナ・ウィルス感染症拡大による影響で、当初の研究計画に遅れが生じている。とりわけ、当初計画していた国外での研究活動が全く実施できない状況にあり、いわゆる「ニューノーマル」に手探りながら漸次適応している段階にある。しかしながら、zoomなどのオンラインツールを使用し、国内外の研究者らとの連携を図っている。そうして核抑止論及び地政学理論の観点から北朝鮮の核軍拡の影響を検証する一方で、印パ、イラン、ウクライナの状況との比較研究を行うことで、米中対立やウクライナ戦争の勃発という新しい安保環境を踏まえた研究に発展させるため鋭意努力している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は最終年度となる。よって、これまでの研究成果を土台とし、新たな安全保障環境における東アジア核抑止体制の変化を踏まえ日本の韓国の戦略と選択肢について検討する。そうすることで、北東アジアにおける低強度紛争や地域紛争増加の可能性について明らかにしながら、北朝鮮の核軍拡という新たな安全保障環境の中で、日本と韓国の戦略的選択肢(ミサイル防衛、短距離・中距離ミサイル配備、核シェアリング、核ドミノなど)について提示する予定である。この過程では、引き続き日米韓などの有識者(意思決定者や政策立案者も含む)へのインタビュー・フィールドワーク・シンポジウム・ワークショップを実施しつつ、検証を進めていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、海外および国内の移動に制限があることが次年度使用額が生じた主な原因であると考える。しかしその額は1,672円であり、次年度の研究活動過程で十分に次年度経費と合わせ使用可能である。
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