2020 Fiscal Year Research-status Report
Behavioral Economic Theory and Market Analysis
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20K13451
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
室岡 健志 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (10796345)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 行動経済学 / 行動経済理論 / ナイーブ / 消費者保護政策 / 競争政策 / 市場分析 / 自尊心 / 学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は『行動経済理論およびその市場分析への応用』という研究課題のもと、一部の消費者が合理性からシステマティックに外れた予想をもっている(ナイーブである)場合の市場均衡分析、および近年の心理学からの知見を組み入れた新たな行動経済理論モデルの構築を目的とする。今年度の主な研究実績としては、ナイーブな個人の理論分析を消費者保護に応用した「消費者保護政策の経済分析と行動経済学」というタイトルの研究成果を和文学術査読誌の『行動経済学』に出版したこと、及びナイーブな個人が戦略的関係の状況にて時間を通じて何らかの未知の変数を学習する際、長期的にどのような結果がもたらされるかについての理論研究を行った成果を“Multi-Player Bayesian Learning with Misspecified Models” (山本裕一氏との共著)というタイトルの学術論文にまとめたことが挙げられる。
並行して、他共著者との各研究プロジェクトをそれぞれ進展させ、そのうちいくつかのプロジェクトにおいて国内および海外のセミナー・ワークショップ・学会での研究報告を行った。今年度はコロナ禍のため、研究報告は国内外を問わず原則としてオンライン、また各共著者との研究プロジェクトの打ち合わせもほぼオンラインのみとなったが、それぞれのプロジェクトにおいて順調な進展を遂げた。特に、自尊心の不安定性について理論研究を行った“Fragile Self-Esteem” (Botond Koszegi氏及びGeorge Loewenstein氏との共著)というタイトルの学術論文は、今年度秋に英文査読誌から改訂要求を受け、今年度末に査読者及びレフェリーからのコメントに対応した改訂版を再投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の主な研究実績としては、ナイーブな個人の理論分析を消費者保護に応用した「消費者保護政策の経済分析と行動経済学」というタイトルの研究成果を和文学術査読誌の『行動経済学』に出版したこと、及びナイーブな個人が戦略的関係の状況にて時間を通じて何らかの未知の変数を学習する際、長期的にどのような結果がもたらされるかについての理論研究を行った成果を“Multi-Player Bayesian Learning with Misspecified Models” (山本裕一氏との共著)というタイトルの学術論文にまとめたことが挙げられる。後者の論文は、学会報告などで得たコメントを組み入れた上で、早急に英文学術査読誌に投稿予定である。さらに、自尊心の不安定性について理論研究を行った“Fragile Self-Esteem” (Botond Koszegi氏及びGeorge Loewenstein氏との共著)というタイトルの学術論文は、今年度秋に英文査読誌から改訂要求を受け、今年度末に査読者及びレフェリーからのコメントに対応した改訂版を再投稿した。
今年度はコロナ禍のため、研究報告は国内外を問わず原則としてオンライン、また各共著者との研究プロジェクトの打ち合わせもほぼオンラインのみとなり、研究計画の大幅な変更を余儀なくされたが、上記成果によりおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
共著者との各研究プロジェクトについて、コロナ禍が収まり次第、各共著者を招聘または現地訪問することなどを通じそれぞれ進展させ、研究を進める。これらの各プロジェクトについて、令和3年度中に学術論文として完成させ、国際学術査読誌に順次投稿していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、当研究の実施のため予定していた、海外への研究出張を中止せざるを得なくなったため。
今年度は、共著者との各研究プロジェクトを進展させる、コロナ禍が収まり次第、各共著者を招聘または現地訪問することを通じ、未使用額と令和3年度予算を合わせて使用する計画である。
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