2020 Fiscal Year Research-status Report
A Mechanism Design Approach to School Bullying
Project/Area Number |
20K13452
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
糟谷 祐介 神戸大学, 経済学研究科, 講師 (20792419)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | いじめ / 制度設計論 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、「マッチング制度における耐戦略性の規範的必要性」に関する研究を進めた(東京海洋大学の奥村保規氏ならびに一橋大学の平田大祐氏との共同研究の一環)。いじめに取り組む学校選択制においても耐戦略性は重要な要求であるが、いじめっ子といじめられっ子をできる限り別々の学校に進学させるという目的を達成する第一義的な重要事項のためには耐戦略性をある程度諦めなければならない可能性がある。翻って本研究が発見したことは、ある(自然で現実に受け入れられやすい)設計指針に基づいた学校選択制においては、耐戦略性の要求と「いじめをすればするほど望ましい学校に進学しにくくなる」という要求が一方が成り立てば他方が成り立つという意味で同値であるということである。本研究の成果の一部は各種オンラインの研究会で報告してフィードバックを得た。
第二に、「耐戦略性ならびに効率性(厚生)の両立可能性」に関する研究を進めた。上記のようにいじめに取り組む学校選択制においても耐戦略性は不可欠な性質と思われるが、考察をさらに進めて耐戦略的な制度が学生(いじめっ子、いじめられっ子の区別なく)を彼らの希望する学校に入学することを促進できているかどうかという効率性(厚生)の問題に取り組んだ。このトピックに関しては成果"Group incentive compatibility and welfare for matching with contracts"をEconomics Letters誌(https://doi.org/10.1016/j.econlet.2021.109824)に公刊した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要でも述べた通り、二つの研究成果をまとめてそのうちの一つは査読付学術誌に公刊することができた。段階的な成果とは言え、学術誌に公刊できたことを鑑み、概ね順調であると言える。
他方、コロナ禍の影響で教育関係者等への聞き取り調査の進捗は悪かった。
|
Strategy for Future Research Activity |
理論研究については昨年度までのペースで研究を続けていきたい。
教育関係者等への聞き取り調査はオンライン等での代替可能性を探りたい。いじめに取り組む学校選択制ならびに学校評価制の姿形についてより深く知るためには専門家への聞き取り調査が必要不可欠である。コロナ禍の収束に期待したい。
|