2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K13456
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
岡本 実哲 明治学院大学, 経済学部, 講師 (70826627)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メカニズムデザイン / 私的情報保護 / 展開型ゲーム / オークション / マーケットデザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
IT技術の進歩とインターネットの普及により、人びとがどのような消費行動をとっているのか、そしてどのような好みを持っているのか、購買行動や選好などの私的情報がデータとして容易に集められる時代になった。GAFAMをはじめとする超巨大IT企業によるこうした私的情報のデータ収集が世界中で問題視されている。我が国においても、政府が「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法」の制定に向けて検討会を開いている。 それぞれの経済問題において個々人の私的情報をいかに保護するかは重要な課題である。本研究の目的は、メカニズムデザインや暗号理論の知見を利用して、私的情報を保護しつつ、望ましい資源配分を達成するための制度を設計することである。 2020年度の研究では、主に展開型ゲームの理論を用いたメカニズムデザインと暗号理論やブロックチェーン技術に関する先行研究のサーヴェイを行った。そしてモノを一つ売る経済問題として、オークション制度の私的情報保護に関する性質を展開型ゲームの形状として一つの定式化をし、その性質を満たすオークションルールの設計を進めている。これまでの研究成果についてはワーキングペーパーの“Privacy Preservation and the Descending-Bid Dutch Auction”にまとめてある。直近の展望としては性質に関する定式化をより洗練させることと、定式化した性質を満たすオークションルールについて他の性質も加えて公理的特徴づけを行うことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は研究テーマの周辺分野であるメカニズムデザインと暗号理論についておおむね順調にサーヴェイを行うことができた。そのうえで、メカニズムの私的情報を保護に関する性質の定式化とその性質を満たすオークションルールの設計に取り掛かっており、研究についてはおおむね順調である。 しかし、2020年度は世界的な社会情勢の悪化により多くの学会が中止、もしくはオンラインで開催されるなどしたため、予定していた通りに学会発表・参加が行うことができなかった。全体として2020年度は研究成果の発表機会や他の研究者との交流の機会を十分に確保することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針としては、サーヴェイした結果をもとにまずメカニズムの私的情報の保護に関する諸性質の定式化を行うこと、そしてそれらの性質を満たすメカニズムの設計を行っていく。そして他の基本的な性質を加えて設計したメカニズムの公理的特徴づけを目指す。また、設計したメカニズムの経済実験に向けての準備も進めていく。 研究発表や意見交換の機会の確保については、世界の社会情勢を考慮しつつ現地での学会参加だけでなくオンラインでの学会参加やミーティングなどを今後は積極的に取り入れていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症による社会情勢の悪化によって、当初予定していた学会参加等が行うことができなくなったため。
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Research Products
(1 results)