2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K13456
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
岡本 実哲 明治学院大学, 経済学部, 准教授 (70826627)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | メカニズムデザイン / マーケットデザイン / オークション / 評価制度 / ゲーム理論 / 投票 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はメカニズムデザインと暗号理論の知見を利用して、「どのような好みを持っているのか」や「人々がどのようにモノを購入しているのかのか」やなどの私的情報を保護しつつ、望ましい資源配分を実現することである。2023年度までの研究では、主にオークションと投票制度に関して情報をうまく扱うことができるルールの設計をしてきた。 財の販売において、各個人が「その財を購入するのに最大でいくらまで支払ってもいいか」の評価値はとても重要な私的情報である。オークションでは、この評価値に関する情報が主催者のもとに集まり、場合によっては他の参加者のも開示される。例えば、封印型第二価格オークションでは、評価値を正直に申告することが支配戦略となっているため、基本的にはすべてのオークション参加者の評価値がそのまま主催者のもとに集まってしまう。主催者としては多くの情報が集まることは嬉しいが、私的情報保護の観点としては望ましくない。そこで、できるだけ主催者のもとに集まる情報を少なくできるオークションメカニズムについて分析した。結果、効率性を満たすメカニズムのなかで参加者が表明する情報がパーティションの考え方でもっとも少なくなるのはクロック型の競り下げ式オークションであることを示した。この研究については"Privacy Preservation and the Descending-Bid Dutch Auction"という論文にまとめているところである。 また投票制度に関する研究では、有権者が表明する情報が限られた状況での投票ルールについて分析した。具体的には、有権者が一部の候補者への評価を表明しない、もしくは表明できないときを考えている。この研究"Accoutable Voting"という論文にまとめ、現在は学術雑誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オークションや投票などの制度設計について理論的な研究はおおむね順調に進めることができている。しかし、当初予定していた設計した制度の実験研究についてはコロナ禍の影響もあり進めることができていない。また、研究発表の機会について、ほとんどがオンラインでの学会参加となっており、対面での参加ができていない。そのため、当初予定していた通りには研究に関しての意見交換ができていない。これらの理由から課題を1年延長して、2024年度も本研究課題を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年年度の研究では、これまでのオークションと投票の研究を論文にまとめて国際的な学術雑誌へと投稿する。また、これらの研究についてSSCWやAEAの国際学会での発表を予定している。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で当初予定していたように学会発表を行うことができていなかったため、次年度使用額が生じた。2024年度に国際学会に参加を予定しており、そこで予算を執行する予定である。
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