2022 Fiscal Year Research-status Report
確率過程に対する一様・高次元正規近似法の開発と変数誤差モデルへの応用
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20K13468
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
栗栖 大輔 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (70825835)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 関数データ / 時系列解析 / ノンパラメトリック回帰 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は1本の論文が出版された.この論文では非定常な関数時系列データに対するノンパラメトリック回帰モデルの提案とその統計的推測理論を構成した.特に,(1)従来の時系列データの枠組みで提案された,非定常なデータを扱うアプローチである局所定常性の概念を関数データの枠組みに拡張し,(2)局所定常性をもち,関数データを入力に,実数値を出力にもつノンパラメトリック回帰モデルを提案した.さらに(3)カーネル法によるNadaraya-Watson型の推定量を提案し,回帰モデルの回帰関数をノンパラメトリックに推定する方法を与えた.特に(4)推定量の一様な一致性と各点での漸近正規性を示した.本論文は Electronic Journal of Statistics に掲載された.上記の研究に加えて,局所定常関数データに対する主成分分析の提案とその理論的妥当性の結果を論文にまとめ,国際ジャーナルに投稿した.
また本年度は関数データに対する統計的推測の新たな研究と開始した.因果推論の文脈においても近年では functional MRI など関数データが利用可能になってきているが,従来の方法を関数データの枠組みに自然に拡張する研究はまだ少ない.そこで,既存の因果推論のための統計手法である逆確率重みづけ法を関数データに拡張する研究を進めている.既に理論的結果は得られており,既存の手法との比較を含めた数値実験と実データ分析を共同研究者とともに現在は行っている.
前年度から引き続き行っている高次元空間データに対するブートストラップ法の研究については現在統計分野のジャーナルに投稿中である.今後はこれらの研究で得られた知見をもとに,今後は新たに時空間データの分析手法の開発に取り組む予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度からの研究計画 (1)局所定常な空間データに対するノンパラメトリック回帰の研究, (2)局所定常な関数データに対する主成分分析の研究, (3)高次元の空間データに対する統計的推測手法の開発とその時空間データへの応用 については何れも論文の形にまとめ,ジャーナルに投稿し,一部は国際的に評価の高いジャーナルに掲載決定または 掲載に向けて改訂を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
現在取り組んでいる関数データに対する因果推論の研究において,数値実験と実データ解析を進める予定である. また本研究課題において,空間データに対するノンパラメトリック回帰の論文が Bernoulli Journal に掲載されているが,この研究に関して,空間データに対する局所多項式回帰について,新たな統計モデルの提案とそのモデルのカーネル法による推定方法の理論的妥当性を示す研究を行う予定である.この研究により,空間データに対するノンパラメトリック回帰のみならず,因果推論の方法の一つである回帰非連続デザインの考え方を空間データに拡張することが期待される.
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Causes of Carryover |
コロナ禍の状況は改善されつつあるが,依然として現地参加を予定していた国際学会がオンライン開催となったこともあり,結果として当初予定していた旅費が計画よりも少なくなった.今後は対面での参加が現実的な学会も計画されるようになってきていることから,国内学会も含め,可能な範囲で対面での参加を検討する.
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