2022 Fiscal Year Research-status Report
調達される財の属性ごとのスコア入札導入の効果の実証分析
Project/Area Number |
20K13478
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鶴岡 昌徳 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (30756078)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スコアリングオークション / 公共調達 / 価格と品質 |
Outline of Annual Research Achievements |
公共工事には年間で数兆円の予算が使われており、さらには公共工事は失業率などマクロ経済への影響もあるので、公共工事の調達結果について分析・考察することは重要といえる。公共工事の入札では、スコアリングオークション(総合評価方式)と言われる価格と品質の両方で競争する入札方式が、近年、広く使われるようになっている。本研究では、「スコアリングオークションが価格のみで入札者同士が競争する入札方式(以下、価格競争入札)に比べて、どの程度、価格と品質を改善するのかを測ること」及び「どういう場合にスコアリングオークションを使うことが効果的なのか」を公共工事の調達データを使って行った。これらの問いに答えるために、品質が重要でかつ技術的難易度の高い工事にスコアリングオークションが使われる場合と技術的難易度の低い工事にスコアリングオークションが使われる場合のそれぞれにおけるスコアリングオークションの効果を価格と品質(工事期間等)の両面から分析した。分析結果としては、品質が重要でかつ技術的難易度の高い工事にスコアリングオークションが使われた場合には、スコアリングオークションは価格競争入札に比べて価格と工事期間の両面を改善する効果があった。それに対して、技術的難易度の低い工事にスコアリングオークションが使われた場合には、スコアリングオークションは価格競争入札に比べて調達結果を改善する効果はなかった。 当該年度においては、2020年度及びそれ以前に行った研究報告などで得られたアドバイスに基づいて論文の改定及び考察を行った。特に、スコアリングオークションが調達結果を改善することのメカニズムやスコアリングオークションはどういう場合にうまくいくのか・いかないのかについて理論・実証的な考察をした。さらに、日本の公共調達の制度を英語で説明することに時間と労力をかけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに行った研究報告などで得られたアドバイスに基づいて論文の改定を行うことに専念した結果、おおむね論文が完成した。今後は、英文校閲に出して国際学術雑誌に投稿する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
英文校閲に出して論文を国際学術雑誌に投稿する。さらに、対面の国際学会が復活しつつあるのでそれに参加して報告したり学会参加者と議論をさせてもらう。
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Causes of Carryover |
これまでに行った研究報告などで得られたアドバイスに基づいて論文の改定を行うことに専念したこと。さらに、学会がオンラインで行われたことなどで学会参加費や旅費にお金をかける必要がなくなったため。次年度以降は、現在執筆途中の論文をなるべく速やかに完成させ、それを英文校閲に出して国際学術雑誌に投稿したり、対面の学会に参加して様々な研究者と交流して議論を交わす。
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