2020 Fiscal Year Research-status Report
北朝鮮経済のミクロ実証分析と朝鮮半島の経済統合構想
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20K13490
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
柳 学洙 北九州市立大学, 外国語学部, 准教授 (80717926)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 北朝鮮経済 / ミクロ実証分析 / 産業分類 / 経済集積 / 市場化 / 経済体制論 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は北朝鮮経済の実証分析を行うための基礎作業として、申請者が作成した北朝鮮企業のデータセットに掲載されている製品データを、国際標準産業分類にしたがってコード化する作業を相当程度進展させた。この作業は、1980年代までの北朝鮮経済がどのような産業構造を形成していたのか、ミクロレベルで分析するために不可欠なものである。 また、北朝鮮企業の物流ネットワークと経済都市の形成過程を分析するために、『朝鮮地理全書』に掲載された道路網、鉄道網、発電施設などのインフラに関する情報を収集・整理してデータセットにする作業を進展させた。 また、1990年代の経済危機を経て北朝鮮経済に生じた変化を分析するための資料収集作業として、『労働新聞』の記事や北朝鮮の学術誌に掲載された論文を収集・整理し、金正日政権から金正恩政権にかけて、政策上どのような変化が現れたのかを一覧するためのクロニクルを作成した。 さらに、南北朝鮮の経済体制を比較分析するために、韓国経済の研究にも着手している。産業構造、物流ネットワーク、経済集積および都市開発という観点から比較するために、韓国が高度経済成長を遂げた時代にどのような経済的変化が現れたのか、またその変化を促した自由主義経済体制の発展過程はどのようなものだったのかについて、韓国の経済統計を用いた実証分析を進めている。 こうした作業と並行して、研究の途中経過を研究会で発表したり、学術誌に発表することで、様々なフィードバックを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は新型コロナウイルスのパンデミックに伴う感染対策やオンライン授業対応など、大学の業務などに大幅な変更と新規作業が生じ、研究に割く時間を十分に捻出できなかった。また、海外渡航が原則的に禁止されたことで資料収集や海外の研究者との交流にも支障が生じ、研究成果を論文の形で発行する面で遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の間に進めた基礎作業に基づき、今後は研究成果を論文として発行することに注力する予定である。具体的には、北朝鮮企業の産業分類と物流ネットワークの研究を早期に論文として仕上げて投稿し、1990年代の経済危機以降に生じた市場化などの変化を扱う研究も進める。また、来年度には本研究課題を通じて発表した論文をまとめて、単行本として出版するための作業にも取りかかる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスのパンデミックに伴う渡航制限によって、予定していた海外出張や研究交流の計画がほぼ全て立ち消えとなり、ここに支出するはずだった研究予算も執行できなくなり、次年度使用に回すこととなった。次年度も渡航制限は継続することが予想されるため、予算の支出項目に変更が生じる可能性はあるが、その分は海外および国内の資料収集などに振り向ける計画である。
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Research Products
(2 results)