2021 Fiscal Year Research-status Report
医療供給者の診療パターンのばらつきと政策介入可能性の検証
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20K13515
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
加藤 弘陸 慶應義塾大学, 健康マネジメント研究科(藤沢), 特任助教 (20831415)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 医療費 / 診療パターン / 医療の質 / 医師 / 患者 / 医療政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、医療の効率化に資するため、診療パターンのばらつきに着目し、なぜ診療パターンがばらつくのかという理由の検証、また政策的介入によって診療パターンのばらつきがどのように変化するのかの検証を、大規模医療データを用いて行っている。今年度は、前年度に引き続き、入院中に提供される医療サービスが患者の職業といった社会的な属性に影響されるのかを主に検証した。新型コロナウイルス流行の影響から、事前にデータの利用許可を得ていた他大学の研究室で分析を行う機会を減らさざるを得ない状況となってしまったものの、データ分析を遂行し、成果を得ることができた。急性期入院に関する大規模な医療データを用い、患者の重症度、年齢、性別といった様々な要素を調整した上で、入院中に提供される医療サービスには患者の社会的な属性によって違いがあり、また患者の健康アウトカムにも患者の社会的な属性による違いがあるという結果を得た。頑健性の確認のため、様々な分析を行ったが、主分析の結果とほとんど同じ結果を得た。本研究結果は診療パターンのばらつきは医療サービス提供の効率性だけでなく、患者の健康アウトカムにも影響している可能性を示唆している。本研究では、提供される医療サービスや健康アウトカムに違いをもたらすメカニズムを特定する分析も行っており、その結果は診療パターンのばらつきを抑えるうえで重要な政策的示唆を与えるものであると考えられる。この研究成果を学術誌で報告するべく、論文執筆を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先に説明した提供される医療サービスが患者の職業といった社会的な属性に影響されるのか否かを検証する研究に関しては、その頑健性を確認するために多くの分析を行ったことから、予想よりも長い分析時間を要することとなり、計画よりもやや遅れが出ている。また、本年度には、診療パターンのばらつきの要因の1つと予想している医療供給者の疲労や健康状態の影響を評価する分析を完了させる予定であった。しかし、上記の遅れの影響もあり、まだ完了していない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は2つの目標を達成する予定である。第一に、提供される医療サービスが患者の職業といった社会的な属性に影響されるのか否かを検証する研究に関して、学術誌に論文投稿を行う予定である。第二に、診療パターンのばらつきの要因の1つと予想している医療供給者の疲労や健康状態の影響を評価する研究をさらに進める予定である。その結果を学会で報告し、学術誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行の影響で、学会がオンライン開催となったことから、国内・国外の学会へ参加する旅費が不要となったため、一部研究費の使用を今年度ではなく、次年度に回すこととなった。今後の使用計画としては、学会が対面で開催される可能性もあることから、その旅費や研究遂行をさらに促進する物品費や人件費・謝金等の形で、今年度使用しなかった研究費を使用する予定である。
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