2021 Fiscal Year Research-status Report
環境問題・環境政策が人的資本形成に与える影響とその経済的価値の評価
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20K13518
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
姜 哲敏 東京経済大学, 経済学部, 講師 (40818944)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大気環境 / ディーゼル車 / 出生時体重 / 地価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトの目的は、環境政策・環境問題が人的資本形成に与える影響を推定し、その経済的価値を明らかにすることである。本年度は、1992に制定された自動車NOX・PM法(正式名称:自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法)によるディーゼル車規制の評価に関する研究を行った。具体的には、ディーゼル車規制のの大気環境の改善効果を推定し、それによる経済的及び疫学的便益として、地価及び子どもの健康への影響を推定した。分析のために、大気環境の観測値及び子どもの健康状態(出生時体重や死産など)、公示地価、ディーゼル車の交通量に関するデータを整備した。推定の結果、ディーゼル車規制の導入によって、大気環境及び子どもの健康が有意に改善され、地価も上昇したことが分かった。具体的には、窒素酸化物(NOX)及び浮遊粒子状物質(SPM)がそれぞれ9.08%、7.17%低下し、低出生時体重児(出生時体重2500g未満児)の割合が13.5%減少し、地価が2.74%上昇した。また、ディーゼル車規制は費用対効果の面でも有効であることが確認できた。規制の実施による車の買い替え費用と地価の上昇より計測された経済的便益を比較したところ、ディーゼル車規制の費用対効果は約14倍であった。こられの推定結果をまとめ、Working paperとして公開し、現在は英文査読付き学術誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた分析を実行し、予想通りの分析結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に行ったディーゼル車規制の評価に関する研究を英文査読付き学術誌に投稿し、査読者のコメントに応じて論文の修正を行う計画である。それと同時に国内外の学会等において報告を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行により、海外の学会等に参加することができなかった。
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