2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K13525
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
関根 篤史 明治大学, 政治経済学部, 専任講師 (70779066)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イールドカーブ / Nelson-Siegelモデル / 金融政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナショック以降、アメリカにおいてはインフレ率が大きく上昇し、それに伴い、アメリカの中央銀行であるFederal Reserve (Fed)は政策金利を大幅に引き上げた。これにより、アメリカのイールドカーブの形状は大きく変化した。本研究では、アメリカの金融引締政策がイールドカーブにどのような影響を与えたのかについて分析を行った。ここでは、アメリカの日次イールドデータを使い、Nelson-Siegelモデルを用いてイールドカーブの推定を行った。分析の結果、以下のことが分かった。1つ目は、政策金利とイールドカーブの形状についてである。2000年から2021年にかけて水準の推定値は下落したが、2022年においては政策金利の上昇と共に上昇した。2020年においてはイールドカーブが低くフラットな形状であったが、2022年以降各年限の利回りの上昇と共に、イールドカーブ全体が押し上げられた。一方で、政策金利の引き上げにより、短期金利が長期金利を上回る逆イールドが観察された。この逆イールドを持つイールドカーブの推定については、非線形最小二乗法による推定の方が、古典的最小二乗法と比較して、最小二乗誤差の観点からより推定精度が上がることが分かった。2つ目は、ゼロ金利政策解除後の政策金利の上昇がイールドカーブファクターにどのような影響を与えたかについてである。分析の結果、2022年3月からFedによる段階的な政策金利の引き上げと共に、水準の推定値だけでなく、傾きの推定値も上昇したことが分かった。Nelson-Siegelモデルにおいては、水準と傾きの和が超短期金利を表しているため、傾きの推定値の上昇がイールドカーブの先端を押し上げ、その結果として、逆イールドが観察されたと思われる。
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