2020 Fiscal Year Research-status Report
高頻度金融データを用いた日中小型株効果の変動要因分析
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20K13527
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
岩本 菜々 兵庫県立大学, 社会情報科学部, 助教 (20825509)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小型株効果 / 高頻度データ / 流動性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、企業規模と超過リターンとの関係を表すアノマリーである小型株効果の日中変動を高頻度株式データにより示し、その変動要因を複数指数により確認する。小型株効果は日中株価変動にて発生すると示されたが、先行研究は四足値の使用に限られる場合がほとんどである。そこで本研究では、分足リターン、リスク指標、ボラティリティや経済指標にくわえ、取引量、bid-ask spreadなど複数の分足流動性指数により、条件別期間ごとに異常値への頑健性が高い相関、回帰分析を行う。データはニューヨーク証券取引所(NYSE)が提供するDaily TAQであり、NYSE上場全個別銘柄を対象とする。 本年度の目標は、高頻度約定データにより分足リターン、リスク指標などの算出、高頻度建値データにより全市場、時価総額別分足流動性指数を作成することであった。本年度の実績としては、1993年から2014年のNYSE上場全個別銘柄の高頻度約定データを用いて小型株効果が時間変動する要因について分析し、市場リスク、市場リターンの歪度の変動との関係を示した(経営研究2021)。高頻度流動性指数作成についても大方完了し、流動性指標を加えた小型株効果の時間変動要因についての包括的分析を行う準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分足流動性指数作成については予定よりも作業が遅れているが、次年度に実施予定であった作業と関連が深い高頻度約定データを用いた基礎分析を行ったため、進捗状況はおおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画として、以下①~④を順次進めていく。①NYSE全上場個別銘柄についての高頻度建値データから、全市場、時価総額別分足流動性指数を作成する(昨年度に引き続き、今年度も継続)。②分足株価リターン、リスク、歪度、経済指標、流動性指標などによる、全期間、条件別相関・回帰分析を行う(今年度)。③異なる観測頻度によるロバストネス・チェックを実施する(今年度)。④異なるデータ・クリーニングによるロバストネス・チェックを実施する(来年度)。
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Causes of Carryover |
今年度は他研究助成金をいただくことになり、そちらの予算から大規模ストレージと高性能計算サーバーを購入した。上記の余剰分については、Daily TAQの購入を申請時よりも長期とすることで対応する。くわえて、購入時期を次年度に延期することにより、コロナの影響を含む、より直近の株価データを入手することとした。購入回数を複数回に分けない理由は、まとめて購入するほど割安となる販売方式だからである。分足流動性指標作成用プログラムについては、NYSEが公表するSample Dataを使用することで作業を進めている。
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