2020 Fiscal Year Research-status Report
An analysis of financial insurance function through the trade credit mechanism and the determinants of trade credit before and after M&A activity
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20K13528
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
NAM HOCHEOL 北星学園大学, 経済学部, 講師 (80826355)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 企業間信用 / ワーキングキャピタル |
Outline of Annual Research Achievements |
仕入債務の決定要因の一つとして、バイヤー側とサプライヤー側の間のパワーバランスが指摘される。特に、先行研究ではバイヤー側のバーゲニングパワーにより、有利な返済条件の仕入債務を使用していることを明らかにしている。一方、売上高の成長は、企業の市場支配力に影響を与え、バーゲニングパワーの向上にもつながる。つまり、企業の売上高と仕入債務の水準に因果関係があると推測できる。本研究者は、バーゲニングパワーを企業の売上高成長率から測定し、仕入債務の決定要因としてバーゲニングパワーの有意性について実証研究を行った。なお、その検証結果をまとめ北星論集(ISSN/ISBN: 02893398)に投稿することができた(Accounts Payable and Sales Growth Rate、北星論集、第60巻第2号(2021/3)、21-31頁)。さらに、バイヤー側とサプライヤー側の取引関係に基づく運転資本のマネジメントおよびパワーバランスによる影響を探究するため、立命館大学の山田和郎教授と共同研究を行い、その結果として共著論文を執筆し「2020年度日本応用経済学会春季大会(オンライン大会)」と「日本ファイナンス学会第28回大会(オンライン大会)」にて研究報告を実施した(論文タイトル:Inventory as a Liquidity Provision Channel)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究結果を実務の企業経営者が参加する関連セミナーや国内外の学術学会での発表、また執筆した論文の公開を通じて発信することを本研究のねらいとしていたが、国内外の諸事情により推進できなかったため「やや遅れている」とする。しかしながら、本研究は日本企業の財務データを用いて、実証研究を行うことで、同分野への科学的エビデンスを提示するとともに、企業の資金調達に関わる政策過程に一定の役割を果たすことが期待され、本研究者は引き続き研究活動に専念している。
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Strategy for Future Research Activity |
日本企業の仕入債務使用状況について、QUICK Astra Manager 企業財務データ(北星学園大学データベース)から四半期報告書や有価証券報告書を収集し分析を行う。実証分析の方法として、イベントスタディ、企業のパネルデータを用いるDID分析、PS(Propensity Score)マッチングを導入した検証等を計画している。 先行研究のリサーチと実証分析の結果をまとめ、今年度中に出版される北星論集への投稿1件、((仮称)仕入債務と企業投資:日本上場会社を中心に)、さらに、コーポレートファイナンス分野の国際ジャーナルに1件の研究論文を投稿する予定である((仮称)Business Power Balance and Trade Credit)を投稿する予定である。これらの研究活動は、研究期間2020-2021年度の科学研究費助成事業(若手研究)の研究課題「企業間信用の財務的保険機能の検証とM&A前後の企業間信用の決定要因における分析」の一部研究となる。 学術セミナーや国内の学会に参加し、研究結果の発表を行う予定である。学術セミナーとしては、九州大学の内田交謹教授が主催する毎月開催のオンライン国際企業金融セミナーに参加し、今年度中は英語による研究発表を希望する。なお、国内3件以上の学会(日本経営財務研究学会、日本ファイナンス学会、日本応用経済学会の全国大会および、各地域部会セミナー)に発表者または指定討論者として参加することを予定している。
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Causes of Carryover |
M&Aデータおよび企業財務データの購入にあてる。なお、全国大会や研究会など学外出張先での研究活動や、共同研究の打ち合わせの効率を高めるため、備品(電子機器等)の購入を検討している。現在使用している統計ソフトウェア(Stata16)との交換性、分析作業の効率性を考慮した上で、2021年度内に備品購入を執行する計画を持っている。
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Research Products
(3 results)