2022 Fiscal Year Research-status Report
International monetary policy coordination with deep habits
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20K13531
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Research Institution | Osaka Gakuin University |
Principal Investigator |
岡野 光洋 大阪学院大学, 経済学部, 准教授 (20635065)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 最適金融政策 / 深層習慣 / 国際政策協調 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、交付申請書に記載された研究実施計画に基づき、消費に深層習慣形成を組み込んだ2国ニューケインジアンモデル(2021年度作成)を拡張し、各国の中央銀行が国際的に政策協調をすることで生じる利得を定量的に評価できるようにした。より具体的には、政策協調による経済厚生を、協調しない場合と比較して、家計消費の単位でどの程度の上昇が見込めるのかを計算した。国際政策協調による利得は、名目価格硬直性の程度やホームバイアス(輸入財に対して国内生産財を選好する傾向)の程度、経済に発生する外生的ショックの種類、および習慣形成の程度に依存して決まる。特に、習慣形成の有無が政策協調の利得を増やすか減らすかは他の要因によって変わりうることを示した。具体的には、価格が伸縮的なときには習慣形成が市場の歪みの源泉となるため、この歪みを協調によって取り除くことで(わずかながら)利得が得られる。しかし、価格が硬直的なときには価格の歪みが支配的になり、習慣形成はむしろ協調の利得を減らす方向に働く。習慣は自国に過剰消費をもたらすため、中央銀行は過剰消費を抑える方向に働く。この働きは自国にとって利己的な行動であるが、必ずしも他国に有害ではなく、ときには外国に利することもある。すなわち、習慣による消費には輸入消費も含まれており、輸入消費を抑制することは外国の過剰生産および過剰労働を抑制することになるからである。この結果、互いに非協調な政策のもとでも、比較的望ましい結果が達成できる。以上の研究成果は国際雑誌に投稿済み論文の改定要求に応える形で盛り込まれる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概ね研究計画の通りに遂行しているものの、投稿中の国際雑誌からの改定要求に応える必要があり、時間を要するため。
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Strategy for Future Research Activity |
投稿中の論文の改定要求に応えるための追加検証等が主な方策となる。その他、資産市場の不完全性の導入や粘着賃金モデルへの応用等、追加検証や頑健性のテストを行う。
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Causes of Carryover |
2022年度は新型コロナウィルス感染症の収束に一定の目処がたったものの、予定していた学会報告等で計上していた旅費は依然として支出できず、次年度使用額が生じた。2023年度はこれまでの問題は概ね解消される見込みであり、旅費および英文校正等に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)