2023 Fiscal Year Annual Research Report
International monetary policy coordination with deep habits
Project/Area Number |
20K13531
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Research Institution | Osaka Gakuin University |
Principal Investigator |
岡野 光洋 大阪学院大学, 経済学部, 准教授 (20635065)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 消費の深層習慣 / 二国モデル / 最適金融政策 / 国際相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、研究期間を1年延長し、消費に深層習慣形成を組み込んだ2国ニューケインジアンモデル(2021年度作成)について、現実データとの適合性を検証した。すなわち、消費に深い習慣があるモデルとないモデルのそれぞれから疑似データを生成し、生産や消費などのマクロモデル変数の変動や自己相関、共変動などを、実際のデータから算出した統計量と比較した。 現実の経済データとして、米国セントルイス連銀のデータベースやIMF、OECDなどの国際機関のデータベースを用い、米国の生産、消費、交易条件、およびカナダの生産、消費などを用いた。モデルベースのデータ生成を200期間とし、現実データも1973年第4四半期から2023年第3四半期までの200期間とした。 主要な結果は以下の通りである。まず、生産の標準偏差について、消費に深い習慣があるケースで1.86, ないケースで1.83, 本研究で用いた米国データで1.70と、深い習慣がある方がより現実の変動を捉えていることが分かった。この結果は先行研究 はUribe and Schmitt-Grohe(2017)とも整合的である(世界平均で1.80, 先進国平均で1.38)。 また、生産の変動に対する消費の変動の大きさや交易条件の変動、生産の自己相関、自国と外国の消費の相関について、それぞれ、消費に深い習慣があるモデルの方が深い習慣のないモデルよりも現実データとの適合性が高いことが分かった。 これらの結果により、消費に深い習慣を盛り込んだモデルの妥当性が確認できた。このことは、最適金融政策における交易条件と消費の習慣形成の関係を分析することの重要性を示唆している。以上の研究成果の一部は国際雑誌に投稿済み論文の改定要求に応える形で盛り込まれる予定である。
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