2021 Fiscal Year Research-status Report
日本における量的・質的金融緩和政策の実体経済に対する効果の検証
Project/Area Number |
20K13533
|
Research Institution | Okayama Shoka University |
Principal Investigator |
井尻 裕之 岡山商科大学, 経済学部, 准教授 (20784911)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 非伝統的金融政策 / 量的・質的金融緩和政策 / TVP-VAR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本における量的・質的金融緩和政策(QQE)が実体経済に及ぼす影響を多角的に分析している。2021年度の研究においては、まず前段階の研究として、2020年度に行った研究を整理し、日本のQQEによるアメリカへのスピルオーバー効果についてまとめた。この成果については、論文「日本の量的緩和政策の国際波及効果 -日米2国TVP-VARモデルによる米国量的緩和実施期の分析-」(岡山商大論叢, 2021, 共著)に掲載された。 主な内容としては以下のとおりである。2008年11月~2014年10月の期間において、日本の金融政策ショックは、そのショックの大きさを変えながら、2国の実体経済に対して大きな影響をもたらすことを明らかにした。日本の金融政策ショックは日本国内だけではなく、アメリカの金融市場と経済に対しても有意な波及効果を及ぼしており、かつ、その影響規模はショック発生時点に応じて変化している。実物部門に対する影響は包括金融緩和政策(CME)期(2010年10月から2013年3月まで)以前とCME期に大きく、金融部門に対する影響はQQE期(2013年4月以降)に大きくなっている。実物部門と金融部門とを結びつける結節点と想定される2つの資産価格、株価と円ドルレートに対する影響は、CME期とQQE期と2つのピークを持っており、前者のピークの方がやや大きい。以上の結果を踏まえ、日米間の金融政策のスピルオーバー効果についてまとめた。 そのほか、日本のQQEの実体経済(日本)に対する影響については、データ等の整理が完了し、実証分析を進めている段階である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症蔓延による影響で、他の業務負担が増加し、当初取り掛かる予定であった研究に遅れが生じたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在進行中である日本のQQEの実体経済に対する影響に関する研究について、データをまとめ、実証分析を行っている最中である。今後は、分析結果をまとめ、2022年度中に学会等にその成果を発表していきたい。さらに論文等にも引き続きまとめていきたい。
|
Causes of Carryover |
2021年度においては新型コロナ感染症蔓延による影響によって、予定していた出張等が取り止めになった影響で次年度使用額が生じた。 次年度については、状況が落ち着き、学会発表等が実施できるような環境であれば海外の国際学会へも積極的に発表を行っていきたい。
|