2023 Fiscal Year Research-status Report
株主の異質性と制度環境の変容:株主による議決権行使に関する実証研究
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20K13557
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
内田 大輔 慶應義塾大学, 商学部(三田), 准教授 (10754806)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | コーポレート・ガバナンス / 株主 / 取締役選任 / 制度変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、株主を取り巻く制度環境が変容する中、株主の企業に対する働きかけがどのように変化するかを解明することにその目的がある。コーポレート・ガバナンス研究において、所有者である株主が企業行動に与える影響は中心的な課題の一つであり、これまで国内外において様々な研究が蓄積されてきた。それら既存研究の多くでは、しばしば一括りにまとめられてきた株主はそれぞれ、異なる選好を有しており、異なる行動を企業に求めて働きかけることを明らかにしてきた。しかしながら、そのような株主による異質的な働きかけが、経時的にどのように変化するかに関する研究は相対的に少なく、さらなる知見の蓄積が必要とされている。このような既存研究の間隙を埋めるべく企図される本研究では具体的に、スチュワードシップ・コードの導入という、日本のコーポレート・ガバナンスにおいて近年最も関心を集める制度環境の変容の一つに注目することで、どのように制度環境の変容が株主による企業への働きかけに変化をもたらすかを解明し、コーポレート・ガバナンス研究に貢献することを目指す。 研究実施4年目となる2023年度は、研究実施3年の2022年度に引き続き、論文の執筆作業に取り組んだ。経営学、コーポレート・ガバナンス領域における国内外の複数の主要な学術雑誌への投稿を行い、修正・再投稿の結果を受け取った。査読者からのコメントに応じて論文を修正したうえで、再投稿を完了させている。現在、審査待ちの状態にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定通り、本年度までに最終的な研究成果を国内外の学術雑誌へ投稿することができた。しかしながら、論文の査読プロセスにおけるフィードバックを受け、論文の構成、特に理論的な議論の展開に関して大きく変更する必要性が生じた。そのため、これまでは対象としていなかった既存研究の調査を行い、それに応じて、関連するデータの収集、そのデータを用いた統計分析の実施を追加的に行なった。以上の理由により、本研究活動はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、研究成果の学術雑誌への投稿作業に注力する。具体的には、2023年度に再投稿した学術雑誌からの審査結果を受け取り次第、論文の修正作業を行う。必要であれば、追加的な文献レビューやデータの収集・分析などを行い、論文の公刊を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、コロナ禍で、当初計画していた国際学会への参加や研究打ち合わせが中止・オンライン化したことで、旅費としての支出が減少したためである。同様に、学生に依頼予定であったデータ入力作業を中止したため、謝金としての支出も減少している。データ入力に関しては、その一部を購入することで代替することができた。2024年度において、学会への参加や論文の英文校正のために使用する計画である。
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