2020 Fiscal Year Research-status Report
早期国際化企業の国際的発展プロセスに関する理論的・実証的研究
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20K13558
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
加納 拡和 大分大学, 経済学部, 講師 (10814220)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 早期国際化企業 / 国際化プロセス / 企業家精神 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度となる本年度は、①先行研究に基づく仮説の導出、および②データセットの構築、③暫定的な実証分析の3つの作業を中心に研究活動を推進した。 ①先行研究に基づく仮説の導出:国際企業家論の諸研究を中心に文献サーベイを体系的に行い、先行研究においては創業初期の国際化を促進する要因を解明することに重点が置かれている一方で、創業初期の国際化がその後の国際化プロセスにいかなる影響を及ぼすのかに関しては十分に解明されていないという問題意識を明確化した。その上で、「創業初期の国際化がその後の国際化プロセスにいかなる影響を及ぼすのか」を主たる研究課題と位置付け、判断ベースの企業家論やペンローズの企業成長の理論の視点の観点に立ち作業仮説を導出した。より具体的には、創業初期から海外市場で操業経験を蓄積することで地理的範囲の拡張が促される可能性があること、またその経験や学習の効果が操業形態や立地選択の影響を受けるという仮説を設定した。 ②データセットの構築:海外事業活動基本調査及び企業活動基本調査の個票データを所管する経済産業省にデータ利用申請を行い、データを入手した。その上で入手したデータの中から創業初期に海外市場に進出した企業を抽出し、分析可能なデータセットに構築した。 ③上記の作業仮説を構築したデータセットを使用して実証分析を行った。それらはあくまでも暫定的な分析であるものの、概ね仮説を支持する結果が得られた。その実証結果をまとめた論文は経営学における主要な国際学会(Academy of Management)に採択され、発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は先行研究に基づく作業仮説の導出とデータセットの構築に時間を要すために、実証分析や国際学会への論文投稿にまで手が回らないと想定していた。しかし、いずれも改善の余地はあるものの、想定よりも早く完了させることができたために実証分析にまでこぎつけることができた。またその成果が主要な国際学会に採択されたことで幸先の良いスタートを切ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度以降は、①作業仮説の精緻化、②分析結果の頑健性の確認、③本格的な論文執筆プロセスを並行して進めていくことが必要である。具体的には、①に関して仮説の理論的説明には改善の余地があり、更なる文献レビューを通じた基礎づけが必要である。②について、概ね仮説を支持する結果が得られているが、実証分析の精緻化に加えて、その結果の頑健性をいくつかの方法を通じて確認しなければならない。①と②を並行して進めた後に、③に関して海外の主要な学術誌への投稿に向けて、投稿先の学術誌の選定並びに論文の最終化を行う。2021年度中tに以上の①~③を完了させ、海外の主要な学術誌への投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウィルスの世界的な感染拡大に伴い、国際学会がオンライン開催に切り替わったことで旅費が想定よりも大幅に削減された。そのため、次年度使用額が発生している。2021年度も同様に海外への出張が困難になるかもしれないが、論文執筆の本格化に伴い英文校正費が発生すること、頑健性チェックのために東洋経済新報社の『海外進出企業総覧』を購入することを想定している。
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