2020 Fiscal Year Research-status Report
An Empirical Study on PCT Co-patent of Japanese and Chinese firms
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20K13564
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Research Institution | The Economic Research Institute for Northeast Asia |
Principal Investigator |
李 春霞 公益財団法人環日本海経済研究所(調査研究部), 調査研究部, 研究主任 (50823978)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 特許 / 共同出願 / イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、日本や中国企業によるWIPO(世界知的所有権機関)へのPCT国際特許出願は急増している。本研究は、日本と中国の上場企業を研究対象とし、2か国以上の出願人によるPCT国際特許共同出願数を「代理指標」として捉える新たな試みにより、数値的計測が困難な企業のオープン・イノベーションの実施に影響を与える要因を解明するとともに、オープン・イノベーションの実施が企業の生産性や特許の質に影響を与えるか否かを分析する。 本研究を遂行するために、まず分析対象企業の売上高、研究開発支出、従業員数など財務データおよび特許出願データを入手する必要がある。(1)中国上場企業データベースより製造業の上場企業の財務データを入手した。Orbis Intellectual Propertyデータベースを購入し、日本の製造業の上場企業の財務データを入手した。(2)企業の特許出願データを入手した。国際特許出願のうち、外国に居住する出願人との共同出願を選別し、それをオープン・イノベーションの代理指標とした。(3)国際特許出願の個票データは、英語と日本語複数の社名表記が使われている場合があるので、出願人の名寄せ作業を行った。(4)企業の正確な特許出願データを検索するには、正確な社名を使う必要がある。企業が社名変更した場合、現社名だけを使うと、旧社名による特許出願データを入手できない。特に中国企業が頻繁に社名を変更したことを発見し、社名変更前の特許データを検索できなかったという問題が発生した。この問題を解決するために、企業のサイトや中国の上場企業情報を収録するサイトを使い、すべての分析対象企業の旧社名を調べた。旧社名と現社名を利用して、当該企業のすべての特許データを入手した。この作業により、前記問題を解決でき、データの精度を保証できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究遂行上の大前提は企業の財務データおよびWIPOへのPCT国際特許出願データの入手・整理である。まず、中国上場企業データベースを入手し、Orbis Intellectual Propertyデータベースを購入して日本の製造業の上場企業の財務データを入手した。次に、国際特許出願のうち、外国に居住する出願人との共同出願を選別した。また、企業が社名を変更した場合、社名変更前の特許データを検索できなかったという問題が発生したが、分析対象企業のすべての旧社名を調べることにより旧社名と現社名を利用して当該企業のすべての特許データを入手し、前記問題を解決できた。本研究を遂行するための基本データを整備できたので、令和3年度では計量分析、研究成果まとめの段階に進められる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和 3 年度は、以下の通り本研究を進めていく予定である。 (1)特許の質に関しては、電子機器製造業や医薬産業など代表的な産業を分析対象とし、特許の被引用回数、特許権利維持期間を整理する。しかし、権利維持期間データの整理は容易ではなく、工夫する必要がある。WIPOへのPCT国際特許出願は出願手続きであり、WIPOでは特許登録を行わないので、特許権利が発生しない。出願人が特許権を取得したければ、PCT出願を希望国に移行して審査請求をする必要がある。特許庁の審査を受け登録査定をもらった出願のみが特許権利が発生する。そのため、権利維持期間を整理するためには、日本や中国に移行したWIPOへのPCT出願の特許ファミリー情報、そのファミリーの登録情報、登録された場合の権利維持期間を調べて整理する作業が発生する。 (2)実証分析用のパネルデータを構築する。分析モデルを構築し、企業のオープン・イノベーションの実施に影響を与える要因、オープン・イノベーションの実施が企業の生産性への影響、オープン・イノベーションの実施が特許の質への影響を計量的に分析する。 (3)研究成果をまとめ、学会発表や論文投稿することにより成果を公表する。
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