2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K13571
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Research Institution | Nagoya Keizai University |
Principal Investigator |
矢野 良太 名古屋経済大学, 経営学部, 准教授 (20805585)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 労働CSR / 人的資源管理 / CSR / 企業の社会的責任 / 社会的に責任ある人的資源管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility, 以下、CSR)の普及とともに労働CSRも多くの企業によって取り組まれている。それにより、人的資源管理(Human Resource Management, 以下、HRM)にも変化が起きていると考えられる。しかしながら、どのような変化がHRMに起きているかは不透明である。そこで、人事施策に着目し、その変化を聞き取り調査により明らかにすることを通じて、HRMに起きている変化を考察することが本研究の目的である。 2020年度は、聞き取り調査に先立ち、労働CSRによってHRMに変化が生じたという前提のもとで行われた実証研究が用いている尺度に焦点を絞り、労働CSRによるHRMの変化が不透明になっている要因を考察し、その変化を明らかにするうえで克服するべき4つの課題を提示した。1つ目は、HRMの尺度の妥当性に関する検証が不十分であるがゆえ、労働CSRによるHRMの変化が捉えられているか不透明という課題である。2つ目は、HRMの尺度が成果に偏っているうえ、その成果の変化の要因が検討されていないがゆえ、労働CSRがHRMの成果を高めているかが不透明という課題である。3つ目は、HRMの尺度が成果に偏っており、HRMの管理の側面に生じた変化が明らかにされていないがゆえ、労働CSRがHRMの管理の側面をどう変えているか不透明だという課題である。4つ目は、企業が労働CSRとして扱う人事施策の内容までは調べられていないがゆえ、労働CSRによる人事施策の変化が不透明であるという課題である。このうち、3つ目の課題を乗り越えるための研究においては4つ目の課題を克服することが必要であるが、その他の課題については1つでも克服することが出来れば労働CSRがHRMにもたらしている変化を明らかにしていくことが出来るだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では2020年度にパイロット調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルスの影響により調査を実施出来なかった。しかしながら、文献研究に時間を使うことは可能であったため、聞き取り調査で克服するべき課題を先行研究をもとに明らかにすることが出来た。そのため、「遅れている」ではなく、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は聞き取り調査を実施したいと考えている。しかしながら、現時点でも新型コロナウイルスの影響は続いており、企業に出向いての調査の見通しがつかないため、状況を注視しつつ、可能であれば聞き取り調査を進めることとしたい。 また、聞き取り調査を実施出来ない場合も想定し、企業での対面による聞き取り調査に代わる調査方法についても2020年度に検討してきた。2021年度も引き続き、研究課題の遂行に向けて聞き取り調査以外の調査方法も検討し続ける。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により聞き取り調査が実施出来ず、次年度使用額が生じた。2021年度の聞き取り調査の旅費として使用したい。
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