2021 Fiscal Year Research-status Report
The empirical analysis of lender-borrower relationship and M&A
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20K13572
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
具 滋承 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (00746878)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | M&A / コーポレートガバナンス / ステークホルダー理論 / 買収パフォーマンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、企業の買収を促進もしくは妨害する主体として、買収・被買収企業の主要ステークホルダーである債権者の金融機関をあげ、企業と金融機関の関係が企業買収後のパフォーマンスを示す累積異常利益率(Cumulative Abnormal Return、以下CAR)に与える影響について理論モデ ルを作成し、統計的分析により検証することである。令和2年度と3年度には、先行研究分析を強化と共に仮説や研究モデルを構築、専門家インタビューによる検証、本格的な実証分析を行うための研究環境を整えることを主な目標にして研究活動を進んできた。その結果、企業の買収を取り巻く買収・被買収企業の主要ステークホルダーの影響についての研究代表者の今までの研究内容をまとめ、企業買収がアライアンスパートナーに与える影響とファイナンシャルアドバイザーが企業買収に与える影響に関する実証研究論文を投稿し、海外学術誌である、Journal of Business ResearchとJournal of Asian Finance, Economics and Businessに掲載された。掲載された論文の理論的基盤に基づき、主要ステークホルダーの金融機関との関係が企業買収に与える影響を分析するための研究モデルを構築し、理論的貢献を極大化するための分析方法を設計した。本格的な実証分析を行うためにデータ収集作業を追加的に行いつつ、分析活動をより深めるとともに追加的な補強を図っているため、ハードウェアの追加的な整備も視野に入れて研究環境を整えている。また、企業の戦略的な意思決定に対する金融機関を含むステークホルダーの影響などを総合的にまとめ、経営学部制や経営学を初めて学ぶ人を主な対象にする書籍を出版した。経営学の各分野を集大成し、その中にある様々な利害関係の影響に対し実例を挙げながらわかりやすく説明を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では企業と金融機関の関係が企業買収後のパフォーマンスを示す累積異常利益率(CAR)に与える影響をより総合的に検証するため、直近15年間のM&A取引、上場企業の財務・金融機関との取引など幅広く関連データを収集し、変数化する作業を進んでいる。さらに、分析モデルの説明力を向上させるため、従属変数である買収後パフォーマンスに影響を与えられる多様な企業情報データを活用し、分析モデルの理論的インパクト・分析の精度を上げるための作業を行っている。また、企業の買収を取り巻く買収・被買収企業の主要ステークホルダーの影響についての研究代表者の今までの研究内容をまとめ、企業買収がアライアンスパートナーに与える影響とファイナンシャルアドバイザーが企業買収に与える影響に関する実証研究論文を投稿し、海外学術誌であるJournal of Business ResearchとJournal of Asian Finance, Economics and Businessに掲載された。掲載された論文の理論的基盤に基づき、主要ステークホルダーの金融機関との関係が企業買収に与える影響を分析するための研究モデルを構築・強化し、理論的貢献を極大化するための分析方法も設計することができた。また、令和3年度には、より汎用性のある理論的土台を構築しようと、幅広い経営学分野の理論背景を振り替えてきた。金融機関が企業の買収活動に影響するチャンネルとしてコーポレートガバナンスの現状などを検証しつつ、会社法の影響などもより本格的に分析し、その結果をまとめ、他の経営学分野のテーマからの説明も加え、書籍として出版することもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究3年目にはより本格的な実証分析を行うとともに、分析の精度をより高めることや理論的インパクトを向上させるための修正作業を繰り返し行うことと、そのための追加的なデータ購入とハードウェア環境整備が必要である。最終的な分析結果はまず論文としてまとめ、学術界での発信、フィードバック結果を反映するための修正作業を行うことを考えている。まとめた論文は次年度の海外学会(Academy of Management、Strategic Management Society)の年次大会に向けて投稿することを目標とする。また、実務家や国内外の関連分野専門の研究者とも分析結果に関する議論を行い、更なる改善のポイントを発見し、追加的な修正作業を行うことも計画している。研究結果発信の一環として、金融機関を含むステークホルダーの企業買収への影響に関する今までの研究結果をまとめ、研究書籍を執筆することも視野に入れている。
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Causes of Carryover |
ハードウェア整備の側面で、予想していたパソコン購入やデータの購入に対する意思決定が遅くなり、次年度以降に購入を行う予定であることと、研究結果の発信のため想定していた、海外で主催される学会への参加が見送られたことで、旅費などの支出が予定通り行わなかったため、次年度使用額が発生した。 令和4年度には、実証分析がより深く行われることや、分析の精度を高めるための各種措置が行われる予定であり、追加的なハードウェアの整備やデータ購入が予定されている。また、海外研究者との交流や意見交換などが対面ベースに戻りつつある状況に踏まえ、旅費の発生も見込まれている。
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Research Products
(1 results)
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[Book] 経営学の入門2022
Author(s)
具 滋承(編)
Total Pages
286ページ
Publisher
法律文化社
ISBN
978-4-589-04198-2