2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K13597
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
安田 直樹 立教大学, ビジネスデザイン研究科, 准教授 (70756981)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 海外子会社 / 撤退 / リストラクチャリング |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は前年度に引き続き海外子会社の撤退要因について、従来から先行研究で議論されている撤退(撤退によって発生する経営資源はリストラクチャリングではなく他の用途に用いられる)と子会社ネットワークのリストラクチャリングを目的とした戦略的撤退(撤退によって発生する経営資源はリストラクチャリングとして他子会社に統合される)という2つのタイプに着目し研究を実施した。 2つのタイプの撤退のメカニズムが異なることを明示することが本研究の目的であり、その点は前年度との変更点はないものの、2021年度はより広範かつ複眼的にアプローチすることを意図した。具体的には、2つのタイプの撤退を説明する要因として、経営資源の観点からの親会社の技術的知識と現地国における唯一の子会社であるか否か、企業内ガバナンスの観点からの国際ジョイントベンチャーか否かと本国からの駐在員の数、外部環境としての現地国の制度的環境と子会社地域特性の6点に焦点を当てて分析を実施した。先行研究におけるこれらの要因の議論では撤退のタイプが考慮されていないが、本研究では2つのタイプの撤退に与えるこれら6つの要因の影響が統計的に有意に異なることが明らかになった。 本研究の貢献は戦略的撤退の促進要因を従来から議論されている撤退との対比で示したことにあり、より包括的なアプローチを用いた点が新たな研究成果となる。これまでの先行研究ではデータの問題で子会社ネットワーク内のリストラクチャリングを目的とした戦略的撤退を分析することができなかったと考えられるが、本研究で用いているデータ上、先行研究で議論されている撤退と戦略的撤退の数はほぼ同等であり、リストラクチャリングを目的とした戦略的撤退に与える影響を明らかにした本研究は、今日的かつ実践的な示唆につながるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は2021年度中に海外学会への論文投稿を実施できる予定であったが、投稿直前の学会および研究会におけるフィードバックをもとに論文構成の大幅な変更とそれに伴うデータ分析の再実施を行ったため、投稿にいたっていない。しかし、すでに構成および分析内容変更に基づく執筆が完了し英文校正を実施している段階であり、5月には投稿の見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況で述べたとおり2022年度早々には海外査読誌への投稿を行う予定である。その結果を踏まえて分析と執筆を繰り返すことで、海外査読誌への論文刊行に向けて引き続き取り組む。またコロナの影響で海外在住の研究協力者と対面でのミーティングが実施できなかったことが分析および論文執筆作業の効率化を阻害していた面もあり、今後は対面でのミーティングも行うことで、より効率的な研究運営を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じている理由として、コロナの影響で研究代表者と研究協力者の国際学会参加関連費用、海外在住の研究協力者との対面ミーティングのための費用が生じなかったことが挙げられる。次年度は国際学会には対面で参加する予定であり、また海外在住の研究協力者との対面ミーティングも行う見込みであり、旅費としての使用が発生する。また必要に応じてすでに扱っているデータを補完するデータの購入も行う予定である。
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