2022 Fiscal Year Research-status Report
クロスボーダーM&Aの統合プロセスにおける企業間関係についての研究
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20K13598
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
徐 玉琴 明治大学, 経営学部, 助教 (80826024)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | クロスボーダーM&A / 統合プロセス / 組織間関係マネジメント / 知識移転 / 人的資本 |
Outline of Annual Research Achievements |
クロスボーダーM&Aには、被買収企業の文化を配慮した企業間関係のマネジメントが求められる。そのため、買収企業は被買収企業をどのようにマネジメント、ガバナンスしていくかが課題になる。その際は、経営チームにはどのような経験やスキルが必要かは重要なポイントと考えられる。 こうした認識を踏まえて、本研究では、買収側のトップマネジメントチームが統合プロセスのガバナンスに重要な影響を与えると想定し分析することとしている。とりわけ、なぜトップマネジメントチームメンバーの文化的背景、スキル、経験などがガバナンスに影響を与えうるかについて、知識の特殊性と人的資本の関係といった従業員の視点から分析した。具体的にはこれまで人的資本についての理論研究を整理したうえ、人的資本経営が求められた背景を概観し、人的資本と知識移転の関係について知識創造理論を用いて論じた。ここでは「SECIモデル」を用いて、知識伝達のサイクルを説明した。とくに、知識は「ヒト」に依存しており、知識の共有や伝達も「ヒト」に介して行われているため、これらの知識やノウハウを持つ従業員(「ヒト」)が不在の場合、知識移転が難しくなるという点に焦点を当て、議論を展開した。 以上のように、知識移転と人的資本への配慮との関係性を提示した。これにより、フレームワークをさらに精緻化することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要で示したとおり、本研究の理論的フレームワークをさらに精緻化することができた。また、2022年度は人的資本をキーワードとした文献調査を中心とし、クロスボーダーM&AのPMIにおける知識移転に影響を及ぼす要因に従業員の視点を追加することができた。この研究結果を「無形資産における人的資本」というタイトルで報告し、論文にまとめた。
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Strategy for Future Research Activity |
人的資本と知識移転に関する内容をさらに検証する。そして、2023年9月に開催予定の学会で報告し、議論を経ったうえ、論文にまとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度はコロナ感染症の影響により、学会出張・調査などは予定通り実施できておらず、文献調査を中心とした研究活動であったため、未使用額が生じた。次年度は学会出張やデータ分析を予定しており、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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